機械
電験三種 令和7年度下期 機械 問15(a) 問題・正答・学習用解説
問題 定格容量50kV·Aの単相変圧器がある。この変圧器を定格電圧,力率100%,全負荷の 3 4 \displaystyle \frac{3}{4} 4 3 の負荷で運転したとき,鉄損と銅損が等しくなり,そのときの効率は98.2%であった。この変圧器について,次の(a)及び(b)に答えよ。 ただし,鉄損と銅損以外の損失は無視できるものとする。 (a) この変圧器の鉄損[W]の値として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。 選択肢 (1) 536
(2) 472
(3) 425
(4) 382
(5) 344
正答と解説 正答:(5)
正答の考え方 正解は(5)344です。まず 3 4 \displaystyle \frac{3}{4} 4 3 負荷・力率100%時の出力は P=定格容量×負荷率 × 力率 = 50000 × ( 3 4 ) × 1.0 \displaystyle \times \text{力率}=50000\times (\frac{3}{4})\times 1.0 × 力率 = 50000 × ( 4 3 ) × 1.0 = 37500 W \displaystyle =37500 W = 37500 W 。効率の定義 η = 出力 出力 + 全損失 \displaystyle \eta =\frac{\text{出力}}{\text{出力}+\text{全損失}} η = 出力 + 全損失 出力 を全損失について解くと, 全損失 = 出力 × ( 1 η − 1 ) \displaystyle \text{全損失}=\text{出力}\times (\frac{1}{\eta }-1) 全損失 = 出力 × ( η 1 − 1 ) = 37500 × ( 1 0.982 − 1 ) \displaystyle =37500\times (\frac{1}{0.982}-1) = 37500 × ( 0.982 1 − 1 ) = 37500 × ( 1.018330 ⋯ − 1 ) \displaystyle =37500\times (1.018330 \cdots -1) = 37500 × ( 1.018330 ⋯ − 1 ) ≃ 37500 × 0.018330 \displaystyle \simeq 37500\times 0.018330 ≃ 37500 × 0.018330 ≃ 687 W \displaystyle \simeq 687 W ≃ 687 W 。問題の条件より,この 3 4 \displaystyle \frac{3}{4} 4 3 負荷の運転点で鉄損と銅損が等しくなっているので,鉄損=全損失÷ 2 = 687 ÷ 2 \displaystyle 2=687\div 2 2 = 687 ÷ 2 ≒344 W となります。よって鉄損は(5)344 W が最も近い値です。 各選択肢の解説 選択肢1 536 W は全損失の配分を誤った値で,全損失約687 W を等分(鉄損=銅損)にしていません。最大効率点では鉄損=銅損なので半分の約344 W が鉄損です。
選択肢2 472 W は全損失や効率の計算過程に誤りがある値です。正しくは 全損失 = 37500 × ( 1 0.982 − 1 ) \displaystyle \text{全損失}=37500\times (\frac{1}{0.982}-1) 全損失 = 37500 × ( 0.982 1 − 1 ) ≃ 687 W \displaystyle \simeq 687 W ≃ 687 W ,その半分の約344 Wが鉄損です。 選択肢3 425 W は効率または負荷( 3 4 \displaystyle \frac{3}{4} 4 3 負荷の出力)の扱いを誤った値です。出力37500 W から全損失687 W を出し,その半分をとると344 Wになります。 選択肢4 382 W は全損失の取り方( 1 η − 1 \displaystyle \frac{1}{\eta }-1 η 1 − 1 の計算)を誤った値で,正しい全損失約687 Wの半分344 Wとは一致しません。 周辺知識 変圧器の損失は,負荷に関係なくほぼ一定の鉄損(無負荷損:ヒステリシス損+渦電流損)と,負荷電流の二乗に比例する銅損(負荷損:巻線抵抗損)に大別されます。効率は η = 出力 出力 + 鉄損 + 銅損 \displaystyle \eta =\frac{\text{出力}}{\text{出力}+\text{鉄損}+\text{銅損}} η = 出力 + 鉄損 + 銅損 出力 。重要な性質として『鉄損=銅損のとき効率が最大になる』があり,これは損失合計ではなく、効率を負荷率αで微分して導きます。力率1で定格容量を S n \displaystyle S_{n} S n とすると η = α S n α S n + P i + α 2 P c \displaystyle \eta =\frac{\alpha S_{n}}{\alpha S_{n}+P_{i}+\alpha ^{2} P_{c}} η = α S n + P i + α 2 P c α S n であり、微分した分子に P i − α 2 P c \displaystyle P_{i}-\alpha ^{2} P_{c} P i − α 2 P c が現れるため、 α 2 P c = P i \displaystyle \alpha ^{2} P_{c}=P_{i} α 2 P c = P i で効率が最大になります。損失合計 P i + α 2 P c \displaystyle P_{i}+\alpha ^{2} P_{c} P i + α 2 P c そのものを微分すると 2 α P c \displaystyle 2 \alpha P_{c} 2 α P c で、同じ条件は得られません。本問は『 3 4 \displaystyle \frac{3}{4} 4 3 負荷で鉄損=銅損(最大効率点)』『そのときη=98.2%』という条件から逆算する問題で,まず効率の式から全損失を出し,最大効率点では二損失が等しいので半分が鉄損,という二段論法で解きます。効率計算で頻出のテクニックは 全損失 = 出力 × ( 1 η − 1 ) \displaystyle \text{全損失}=\text{出力}\times (\frac{1}{\eta }-1) 全損失 = 出力 × ( η 1 − 1 ) の形で,入力=出力+損失, η = \displaystyle \eta = η = 出力 入力 から導けます。最大効率を与える負荷率は α = P i P c \displaystyle \alpha =\sqrt{\frac{P_{i}}{P_{c}}} α = P c P i (全負荷銅損に対する鉄損の比の平方根)で表され,一日の負荷変動を考えた『全日効率』では,軽負荷時間が長い配電用変圧器は鉄損を小さく設計するのが有利になります。本問の(b)とセットで,鉄損は負荷不変・銅損は負荷率二乗という基本性質を使い分ける練習になります。 ← 前の問題(問14) 次の問題(問15(b))→ 出典と解説について 出題・正答の公表元:電気技術者試験センター。公式の試験問題・正答公表ページ
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