法規
電験三種 令和7年度下期 法規 問12(a)
問題・正答・学習用解説
問題
「電気設備技術基準の解釈」に基づいて,最大使用電圧が 6.9 kV の電路に接続する,導体断面積 100 mm²,長さ 800 m の高圧 CV ケーブル(単心)の絶縁耐力試験を交流で実施する場合について,次の(a)及び(b)に答えよ。ただし,周波数は 50 Hz,ケーブルの対地静電容量は 1 km 当たり 0.45 μF とする。(a) ケーブルに試験電圧を印加した場合の充電電流[A]の値として,最も近いのは次のうちどれか。選択肢
- (1)
0.78
- (2)
1.17
- (3)
1.46
- (4)
2.34
- (5)
3.51
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)の1.17です。まず交流の絶縁耐力試験電圧は最大使用電圧の1.5倍なので、V=6.9kV×1.5=10.35kV=10350V。次にケーブルの対地静電容量は、1km当たり0.45μFで長さ0.8kmなので C=0.45μF/km×0.8km =0.36μF =0.36×10−6F。充電電流(容量性電流)は Ic=ωCV =2πfCV =2π×50×0.36×10−6×10350。計算すると 2π×50=314.2、314.2×0.36×10−6 ≃1.131×10−4、これに10350を掛けて Ic≃1.17[A]。よって最も近いのは(2)の1.17Aです。 各選択肢の解説
選択肢1
0.78Aは試験電圧を1.5倍せず、最大使用電圧6.9kVのまま(あるいは静電容量を過小に)計算した場合に近い値で、試験電圧の1.5倍換算を忘れた誤りです。
選択肢3
1.46Aは静電容量や試験電圧の換算を誤った場合の値です。C=0.45μF(こう長を掛けない)などとすると過大な電流になります。 選択肢4
2.34Aは試験電圧を2倍にとる、あるいは静電容量を2倍にするなど、係数を過大に取った場合の値で、正しい1.5倍・0.36μFでは生じません。
選択肢5
3.51Aは静電容量や試験電圧を約3倍に取り違えた場合の値で、計算過程のいずれかの係数を大きく誤ったときに現れます。
周辺知識
高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験では、試験電圧=最大使用電圧×1.5倍(電技解釈第15条系)で連続10分間印加します。試験電圧印加時にはケーブルの対地静電容量Cにより充電電流(進み・容量性)Ic=ωCV =2πfCVが流れ、これはケーブルこう長(=対地静電容量)と周波数に比例します。長尺・大容量ケーブルでは充電電流が大きくなり、試験用変圧器の電流容量を超えてしまうため、(b)のように並列に補償(補正)リアクトルを接続して容量性電流を誘導性電流で打ち消す手法が用いられます。電線にケーブルを使う交流電路では、解釈第15条により、表に定める交流試験電圧の2倍の直流電圧を連続10分間加える代替方法もあります。本例なら10.35×2=20.7kVです。直流では充電後の定常的な容量性電流が流れない点が交流試験と異なりますが、本問は交流試験なのでIc=2πfCVを用います。計算では『試験電圧は1.5倍する』『Cはこう長分を掛ける』『ω=2πf』を確実に。50Hzと60Hzでωが変わるため周波数の取り違えにも注意します。本問の値(V≒10.35kV、C=0.36μF)を押さえれば(b)に直結します。