法規
電験三種 令和7年度下期 法規 問12(b)
問題・正答・学習用解説
問題
「電気設備技術基準の解釈」に基づいて,最大使用電圧が 6.9 kV の電路に接続する,導体断面積 100 mm²,長さ 800 m の高圧 CV ケーブル(単心)の絶縁耐力試験を交流で実施する場合について,次の(a)及び(b)に答えよ。ただし,周波数は 50 Hz,ケーブルの対地静電容量は 1 km 当たり 0.45 μF とする。(b) 図のような試験回路でケーブルの絶縁耐力試験を行う場合,試験用変圧器の容量を 5 kV・A としたとき,補償リアクトルの必要最少の設置台数として,正しいのは次のうちどれか。ただし,試験電圧を印加したとき,1 台の補償リアクトルに流すことができる電流(電流容量)は 270 mA とする。(図:試験用変圧器 110/11000 V,5 kV・A,補償リアクトル,被試験ケーブルから成る絶縁耐力試験回路)
選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は(3)の3台です。(a)より試験時の充電電流は です。試験用変圧器(容量5kV·A、二次電圧11000V)が供給できる最大電流は 。したがって補償リアクトルで打ち消す必要のある電流は 以上です。補償リアクトル1台が分担できる電流は270mAなので、必要台数は となり、これを満たす整数の最小値は3台です。よって(3)の3台が正しくなります。リアクトルが容量性の充電電流を誘導性電流で相殺し、変圧器の負担を電流容量以内に収める考え方です。
各選択肢の解説
選択肢1
1台では補償できる電流が270mAにとどまり、変圧器の分担はとなって容量相当の455mAを大きく超えるため、変圧器が過負荷となり不足です。
選択肢2
2台では補償電流が540mA、変圧器分担はとなり、なお455mAを超えるため不足です。あと175mA分(1台分以内)足りません。
選択肢4
4台(1080mA補償)でも条件は満たしますが、3台で既に変圧器分担を455mA以内に収められるため、必要最少台数ではありません。問われているのは最少台数です。
選択肢5
5台は補償が過剰で、必要最少台数ではありません。リアクトルを増やしすぎると遅れ電流が過大になり経済的にも不合理です。
周辺知識
ケーブルの絶縁耐力試験では大きな容量性充電電流が流れるため、試験用変圧器の電流容量(=容量二次電圧)を超えてしまうことがしばしばあります。そこで、ケーブルと並列に補償リアクトル(誘導性)を接続し、容量性電流(進み)を誘導性電流(遅れ)で打ち消して、試験用変圧器が実際に負担する電流を小さくします。これは進相コンデンサによる力率改善と逆向き(容量性を誘導性で相殺)の関係で、ベクトル的には (進み)と (遅れ)が逆位相のため差し引きされます。設計手順は、(1)充電電流を求める、(2)変圧器の許容電流容量二次電圧を求める、(3)補償すべき電流=、(4)台数=を切り上げ、です。台数は必ず切り上げる(不足は許されない)点が要注意で、2.65→3台のように小数を切り上げます。リアクトルを入れすぎると今度は遅れ電流が過大になり別の負担が生じるため『必要最少台数』が問われます。試験用変圧器の容量選定や電源容量の確認は、現場の絶縁耐力試験計画で実際に行う重要な計算です。