学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問30
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、関係法令上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は1です。盛土規制法では、工事の許可を要する規模と、工事途中の中間検査を要する規模を区別します。許可を受けたすべての工事が、必ず中間検査の対象になるわけではありません。
宅地造成等工事規制区域内の切土で、高さ3mの崖を生じる本問は、許可対象となる2m超の崖の条件には当たります。しかし、切土の崖の高さを基準とする中間検査の対象は5m超です。3mという条件だけでは、その規模に達しません。選択肢1は、許可済みで特定工程を終えたことから、直ちに中間検査の申請が必須とした点が誤りです。
中間検査は、完成すると土などに隠れて確認できなくなる排水施設等の所定の工程を、工事中に検査する制度です。対象となる工事の規模と特定工程の両方を確認します。なお、面積3,000m²超など別の規模条件に該当する場合には別途検討が必要で、『切土の崖3mならあらゆる工事で中間検査不要』と一般化しません。本問にない大規模な面積条件を勝手に補って、申請義務があるとすることもできません。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)誤りです。切土で高さ3mの崖を造る工事は、許可の高さ基準2m超には該当しますが、中間検査の高さ基準5m超には該当しません。許可と中間検査の対象範囲を同じとした記述です。特定工程は工事中の検査が必要な所定の工程を指しますが、その工程があることだけで規模の条件を飛び越えません。面積等の別条件は別途判断するため、提示された3mという条件を根拠に検査必須とはいえません。
選択肢2
(2)正しい記述です。都市緑地法の緑化地域では、原則として敷地面積1,000m²以上の新築等に、都市計画で定めた緑化率の最低限度が適用されます。本問は1,000m²ちょうどなので『以上』に含まれます。緑化率は敷地に対する所定の緑化施設の面積割合です。例えば最低限度が10%なら、1,000m²に対して100m²相当の緑化を確保する計算になります。地域で定める最低値を個別に確認します。
選択肢3
(3)正しい記述です。近隣商業地域で延べ面積2,000m²以上の建物を新築する場合など、駐車場法に基づく条例によって駐車施設の附置義務を定めることがあります。附置とは、建物の需要に対応する駐車施設を建物や敷地に備えることです。道路上への駐車集中などを抑えるため、地域の交通事情を踏まえて条例で具体化します。全国どこでも同じ台数が自動的に必要、という記述ではない点が適切です。
選択肢4
(4)正しい記述です。流通業務地区では、物流機能をまとめて配置するため、流通業務市街地整備法による独自の施設の制限を使います。その対象の用途規制について、建築基準法の用途地域等・特別用途地区の規定を適用しない扱いがあります。倉庫業に用いる事務所は認められる施設です。物流施設なら構造安全や防火など全ての建築基準法がなくなるのではなく、用途を調整する規定の適用関係を整理しています。
周辺知識
切土は高い土地を削ること、盛土は土を盛り足して土地を高くすることです。どちらも斜面が崩れたり、地下水や雨水の影響で土が不安定になったりする危険があります。盛土規制法では区域と工事の規模等に応じて、事前の許可、施工中の確認、完成時の検査などで安全を確保します。許可は計画、検査は実際の施工を確かめるためのもので、役割が違います。
中間検査は、完成後には見えなくなる重要な部分を途中で確認することに意味があります。例えば土の中へ埋める排水管が不適切でも、上から土で覆うと外観だけでは分かりません。ただし、すべての工事を同じ頻度で検査するのではなく、法令が定める規模と工程を対象にします。許可の数値と検査の数値を別の欄へ整理することが有効です。
本問のほかの法律は、緑の確保、駐車需要への対応、物流施設の集約を扱います。緑化率は敷地面積、駐車施設の附置では建物の延べ面積等、切土では崖の高さや工事面積というように、判断に使う量が違います。数値を見る前に、どの法律で何の影響を調整する制度かを把握すると、条件を取り違えずに読めます。