学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問2
問題・正答・学習用解説
問題
高さ又は階数に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。道路高さ制限には、建物を道路から後退させた分だけ、道路の反対側の境界を外へ移したものとして高さを計算する緩和があります。その後退距離を決めるとき、低いポーチなど一定の部分は条件付きで除外できます。ポーチは、建物の入口前に設ける、屋根などを伴う部分です。
この特例に使うポーチの高さは、建物の地盤面からではなく、前面道路の路面の中心から測ります。道路空間をどれだけ妨げるかを判断する特例なので、道路側の基準を用いるのです。選択肢2は、一般的な建物高さの基準である地盤面を、そのまま特例の高さにも使った点が誤りです。
例えば、道路より敷地が1m高く、その上に高さ3mのポーチを設ければ、地盤面からは3mでも道路の路面中心からは4mです。どちらから測るかによって、特例の高さ条件へ適合するかが変わり得ます。高さ問題では、対象物の頂部だけでなく測り始めの基準面を必ず確認します。また、日影規制、避雷設備、階数の算定はそれぞれ目的が違うため、ある規定の除外を別の規定へ自動的に流用しないことが大切です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)正しい記述です。日影規制の平均地盤面は、建物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにある水平面です。斜面に建つ建物では、最も高い場所だけを基準にすれば建物高さを小さく見せられるため、任意の一か所を選ぶことはできません。建物周囲の接地する位置を平均して、日影を検討する基準をそろえます。一般の地盤面の算定には高低差による区分の扱いもありますが、日影の平均地盤面についての定義と混同しないようにします。
選択肢2
(2)誤りです。道路後退距離の算定でポーチを除外する特例の高さは、前面道路の路面の中心から測ります。敷地の地盤面からではありません。敷地が道路より高い場合、地盤面からの高さだけで判定すると、実際には道路側へ高く現れるポーチを低く評価してしまいます。逆に低い敷地でも、法が定めた同じ基準で測る必要があります。『建築物の高さは地盤面から』という原則だけに頼らず、この特例に関する算定基準を確認します。
選択肢3
(3)正しい記述です。避雷設備の要否は、雷を受ける高さに着目して判断します。そのため、屋上の昇降機塔の水平投影面積が建築面積の8分の1以内でも、その高さを建物高さへ算入します。例えば本体が19mでも屋上の塔を含めて22mなら、20m超かを考える際に塔を無視できません。高さ制限の一部では小さな屋上部分を除く特例がありますが、雷の危険は屋上部分が小さいからなくなるわけではないので、同じ除外を用いません。
選択肢4
(4)正しい記述です。屋上部分の階数を除く特例は、小規模な昇降機塔など所定の用途・構造の部分についてです。屋上に設ける倉庫は、物を保管する利用空間であり、その特例の対象には含まれません。面積が建築面積の8分の1ちょうどであっても、用途の条件を満たさないため階数に算入します。例えば通常の3階の上にこの倉庫階を設ければ、単に小さな屋上部分だから3階建てのままと判断できません。面積条件だけを見て除外しないことが要点です。
周辺知識
建物の『高さ』は、何の規定に使うかによって基準や除外部分が異なります。周囲への圧迫感や日照を考える高さ制限と、雷への対策を考える高さでは、守る対象が違います。小さな昇降機塔が周囲の空間へ与える影響を限定して扱える規定があっても、雷を受ける最も高い位置としては考慮しなければなりません。
また、高さに算入しないことと、階数に算入しないことも別です。水平投影面積が建築面積の8分の1以内という同じ数値が出てきても、対象となる屋上部分の用途や、適用できる高さ規定を確認する必要があります。倉庫は通常利用する室としての機能を持つので、機械設備のための塔などの扱いへ安易に置き換えられません。
計算を始める前に、紙に『道路中心の高さ』『敷地の地盤面』『屋上部分の用途』『面積割合』などを書き分けると、混同を防げます。特に敷地と道路に高低差がある図では、同じ屋根先でも測定値が変わります。法の『算入する・しない』『どこから測る』は、現物の形を変えるものではなく、その規定のための評価方法を定めたものだと理解しましょう。