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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅴ(施工) 問10

問題・正答・学習用解説

問題

表は、コンクリートの計画調合において使用する材料の絶対容積及び質量を記号で表したものである。この表の材料を使用したコンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、細骨材及び粗骨材は、表面乾燥飽水状態とする。
絶対容積(l/m³)質量(kg/m³)
水セメント細骨材粗骨材水セメント細骨材粗骨材
ABCDEFGH

選択肢

  1. (1)
    細骨材率(%)は、CC+D×100\displaystyle \frac{C}{C+D}\times100である。
  2. (2)
    空気量(%)は、1,000−(E+F+G+H)1,000×100\displaystyle \frac{1,000-(E+F+G+H)}{1,000}\times100である。
  3. (3)
    細骨材の表乾密度(g/cm³)は、GC\displaystyle \frac{G}{C}である。
  4. (4)
    水セメント比(%)は、EF×100\displaystyle \frac{E}{F}\times100である。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

選択肢2が不適当です。空気量は体積の割合なので、1 m3=1,000 L\displaystyle 1\,\mathrm{m}^{3}=1{,}000\,\mathrm{L}から差し引くのは材料の「絶対容積」の合計A+B+C+D\displaystyle A+B+C+Dです。E+F+G+H\displaystyle E+F+G+Hは質量の合計であり、体積から引くことはできません。
絶対容積とは、水、セメント、砂、砂利という材料そのものが占める体積です。砂利を容器へ入れたときの隙間を含む見かけの体積とは違います。コンクリート1m³を、各材料自体の体積と空気の体積へ分けて考えると、全体1,000Lから四材料の体積を引いた残りが空気になります。
したがって正しい式は次のとおりです。
1000−(A+B+C+D)1000×100\begin{aligned}&\frac{1000-(A+B+C+D)}{1000}\\[4pt]&\quad\times100\end{aligned}
例えば四材料の合計が955Lなら、空気は次のとおりです。
1000−955=45 L1000-955=45\,\mathrm{L}
その割合は次のとおりです。
451000×100=4.5 %\frac{45}{1000}\times100=4.5\,\%
本肢のように質量を足すと通常は1,000を超える値にもなり、空気量が負になるなど、意味のない結果が生じます。記号を暗記する前に、表の上段の単位を確認し、「同じ種類の量を引く」「割合=\displaystyle \text{割合}=部分全体」と言い直すことが判断の近道です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。細骨材は砂、粗骨材は砂利や砕石に相当します。細骨材率は、骨材全体の絶対容積のうち砂が占める割合なので、砂のCを砂と砂利の合計C+D\displaystyle C+Dで割ります。水やセメントを分母へ加えないのが要点です。例えばC=300 L\displaystyle C=300\,\mathrm{L}、D=450 L\displaystyle D=450\,\mathrm{L}なら次のように計算します。
300300+450×100=40 %\frac{300}{300+450}\times100=40\,\%
コンクリート全体の40%が砂という意味ではなく、骨材の体積に着目した割合です。定義の分母を言葉で確認すると式を選びやすくなります。

選択肢2

選択肢2:不適当です。E〜Hはkgで表した質量、1,000は1m³に対応するLです。体積から質量を引く計算は、距離から重さを引くのと同じで物理的な意味がありません。空気量を求めるには、A〜Dの絶対容積を合計して1,000Lから引き、その空気の体積を1,000Lで割ります。空気そのものの質量を四材料の質量差から求める問題でもありません。式の見た目が「全体から材料を引く」になっていても、同じ単位の量を使っているかを点検する必要があります。

選択肢3

選択肢3:適当です。表乾密度とは、骨材の表面に余分な水が付いておらず、内部の吸水できる隙間は水で満たされている「表面乾燥飽水状態」での密度です。密度は、ある材料の質量を、その材料が占める体積で割ったものです。ここでは、砂粒どうしの隙間を含む見かけの体積ではなく、細骨材の絶対容積を使います。
まず、表の単位を確認します。細骨材の質量の欄はkg/m3\displaystyle \mathrm{kg/m}^{3}、絶対容積の欄はL/m3\displaystyle \mathrm{L/m}^{3}です。どちらの「1m³当たり」も、出来上がるコンクリートの体積を基準にしています。したがってコンクリート1 m3\displaystyle 1\,\mathrm{m}^{3}分を取り出して考えると、その中に使う細骨材の質量はG kg\displaystyle G\,\mathrm{kg}、絶対容積はC L\displaystyle C\,\mathrm{L}です。表乾密度をρs\displaystyle \rho_sと書くと、次の式になります。
ρs=G kgC L\rho_s=\frac{G\,\mathrm{kg}}{C\,\mathrm{L}}
次に、問題で求められているg/cm3\displaystyle \mathrm{g/cm}^{3}へ単位をそろえます。質量と体積は、それぞれ次のように換算します。
1 kg=1000 g1\,\mathrm{kg}=1000\,\mathrm{g}
1 L=1000 cm31\,\mathrm{L}=1000\,\mathrm{cm}^{3}
つまり、分子の質量も分母の体積も、数値を1000倍します。
ρs=1000G g1000C cm3\rho_s=\frac{1000G\,\mathrm{g}}{1000C\,\mathrm{cm}^{3}}
分子と分母に共通する1000を約分すると、次のとおりです。
ρs=GC g/cm3\rho_s=\frac{G}{C}\,\mathrm{g/cm}^{3}
このため、kgとLで割ったときも、gとcm³で割ったときも、密度の数値は同じになります。質量の単位だけをgへ変えて1000倍するのではなく、体積も同時にcm³へ変えるのが要点です。
例えば、コンクリート1m³中の細骨材の質量が780kg、絶対容積が300Lなら、gとcm³では780,000gと300,000cm³です。
780,000300,000=780300=2.60\frac{780{,}000}{300{,}000}=\frac{780}{300}=2.60
したがって表乾密度は2.60 g/cm3\displaystyle 2.60\,\mathrm{g/cm}^{3}です。これは、この表乾状態の細骨材が1cm³当たり2.60gの質量をもつという意味です。選択肢3のGC\displaystyle \frac{G}{C}で正しく求められます。

選択肢4

選択肢4:適当です。水セメント比は、水の質量をセメントの質量で割った比率で、体積比ではありません。水がE、セメントがFなのでEF×100\displaystyle \frac{E}{F}\times100です。例えば水180kg、セメント360kgなら50%です。水とセメントは密度が違うため、絶対容積AB\displaystyle \frac{A}{B}で置き換えると別の値になります。水セメント比はコンクリートの強度や水の通りにくさに関係しますが、数値の算定ではまず「水の質量セメントの質量」という定義を守ることが大切です。

周辺知識

調合は、コンクリート1m³をつくるために各材料をどれだけ使うかを決めることです。材料を量り取るときにはkgが便利ですが、出来上がる体積を確かめるときにはLやm³が必要です。そのため同じ材料について質量と絶対容積の両方を表に示します。二つをつなぐのが密度で、質量=密度×体積\displaystyle \text{質量}=\text{密度}\times\text{体積}の関係があります。
骨材には水を吸い込める小さな隙間があります。表面乾燥飽水状態、略して表乾状態は、内部は水で満ちているが外側に余分な水が付いていない基準状態です。乾いた骨材なら練混ぜ水を吸い、表面がぬれた骨材なら余分な水を持ち込むため、実際の調合では含水状態に応じた補正が必要になります。
三つの割合を区別しましょう。細骨材率は骨材の体積の配分、空気量はコンクリート全体に対する空気の体積、水セメント比は水とセメントの質量の比です。全て%でも分子・分母は違います。「何のうち、何がどれだけか」を言葉で確認し、単位をそろえてから計算すると、記号が別の文字へ変わっても解けます。