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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅴ(施工) 問8

問題・正答・学習用解説

問題

鉄筋工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    粗骨材の最大寸法が20mmのコンクリートを用いる柱において、主筋D22の鉄筋相互のあきについては、30mmとした。
  2. (2)
    鉄筋の加工に用いるかぶり厚さは、建築基準法に規定されている最小かぶり厚さに、施工誤差を考慮して、10mmを加えた数値とした。
  3. (3)
    スラブの鉄筋のスペーサーの配置は、特記がなかったので、上端筋、下端筋それぞれ、間隔は0.9m程度、端部は0.1m以内とした。
  4. (4)
    柱及び梁において、主筋にD29以上の太物の異形鉄筋を使用するに当たり、付着割裂破壊を考慮し、主筋のかぶり厚さを主筋の呼び名の数値の1.5倍以上とした。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

選択肢1が不適当です。D22の主筋に必要な鉄筋相互のあきは、今回の条件では33mm以上となるため、30mmでは不足します。あきとは鉄筋の中心間距離ではなく、隣り合う鉄筋の表面と表面の間に残る隙間です。
必要なあきは、25mm、鉄筋の呼び名の数値の1.5倍、粗骨材の最大寸法の1.25倍を比べ、最も大きい値を確保します。本問では、鉄筋から決まる値は次のとおりです。
1.5×22=33 mm1.5\times22=33\,\mathrm{mm}
骨材から決まる値は次のとおりです。
1.25×20=25 mm1.25\times20=25\,\mathrm{mm}
したがって次のように計算します。
max⁡(25,33,25)=33 mm\max(25,33,25)=33\,\mathrm{mm}
maxは並べた数の最大値を選ぶ記号です。
コンクリートは液体のように見えても、中には20mm程度の石が含まれています。隙間が狭ければ石が引っ掛かり、鉄筋の裏側まで十分に行き渡らず、空洞ができる原因になります。さらに鉄筋周囲のコンクリートを確保する条件も必要です。30mmは骨材に対する25mmの条件だけなら満たしますが、全ての条件を同時に満たして初めて適当になります。条件の平均を取るのではなく、最も厳しい条件を採る点が計算の要です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:不適当です。D22は鉄筋の呼び名で、この条件の計算では22を用います。必要なあきは1.5×22=33 mm\displaystyle 1.5\times22=33\,\mathrm{mm}が最大となり、30mmでは3mm足りません。粗骨材が20mmなので、石が1個通る隙間があれば十分、と考えないようにします。実際には多数の骨材が移動し、鉄筋の周りへ密実に充填される必要があります。また、中心から中心まで33mmという意味でもありません。鉄筋の太さを除いた表面間の隙間で33mmを確保します。

選択肢2

選択肢2:適当です。かぶり厚さは、鉄筋の外側表面からコンクリートの表面までの距離です。鉄筋の加工寸法を最小かぶり厚さぴったりで決めると、組立てや型枠の誤差で最小値を下回る恐れがあります。そこで施工誤差を見込み、最小かぶり厚さに10mmを加えて加工を計画する扱いは適当です。例えば最小値40mmなら加工の目安を50mmとし、ずれに余裕を持たせます。この10mmは、実際の完成時に最小値を10mm下回ってよいという許容ではありません。

選択肢3

選択肢3:適当です。スペーサーは鉄筋の下や横に置き、型枠から所定の距離を保つ支持材です。床の上端筋は作業員が歩くと下がりやすく、下端筋も支持が少なければたわんで位置が変わります。本肢のようにそれぞれ約0.9m間隔で支え、端部から0.1m以内にも配置することで、途中と端の位置を保ちます。鉄筋量が設計どおりでも、必要な高さからずれると曲げに抵抗する働きが低下します。材料の本数と、組み立てた後の位置を両方確認する必要があります。

選択肢4

選択肢4:適当です。異形鉄筋の表面の節はコンクリートへ力を伝える一方、周囲を押し広げる作用も生みます。太い鉄筋で周囲のコンクリートが薄いと、鉄筋に沿って裂ける付着割裂破壊を起こしやすくなります。D29以上の主筋で、主筋のかぶりを呼び名の1.5倍以上とするのは、この破壊を抑えるためです。例えばD32なら1.5×32=48 mm\displaystyle 1.5\times32=48\,\mathrm{mm}以上がこの条件から必要になります。火災や腐食から守る条件と併せ、該当する条件を全て満たします。

周辺知識

鉄筋コンクリートは、圧縮に強いコンクリートと、引張りに強い鉄筋が力を分担する構造です。ただし、二つを並べるだけでは一体になりません。鉄筋とコンクリートの付着によって力を受け渡す必要があり、鉄筋の位置と周りのコンクリートの状態が重要になります。
「あき」「かぶり」「間隔」を図として思い浮かべましょう。あきは鉄筋同士の表面間、かぶりは鉄筋と外表面の間、中心間隔は鉄筋の中心同士の距離です。同じ数値でも測る二点が違えば意味は変わります。あきはコンクリートを行き渡らせるため、かぶりは腐食や火災への保護、付着による力の伝達などのために確保します。
複数の最低条件がある場合は、全てを満たす最大値を選びます。例えば「25mm以上」と「33mm以上」が同時に必要なら33mm以上です。施工時はさらに、固定が緩んで位置が動かないか、打込み時にスペーサーが外れないかを確認します。寸法を紙の上で計算することと、その寸法を現場で保つことがそろって初めて、設計した性能に近づきます。