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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅳ(構造) 問30

問題・正答・学習用解説

問題

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」における構造の安定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    基礎の構造の性能について表示すべき事項は、直接基礎にあっては、基礎の構造方法及び形式である。
  2. (2)
    「耐積雪等級」は、建築基準法施行令に規定する多雪区域に存する住宅に適用されるものである。
  3. (3)
    「耐風等級」は、暴風に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさ及び構造躯体の損傷の生じにくさを表示している。
  4. (4)
    「耐震等級」には、等級1、等級2及び等級3があり、耐震性能の要求レベルが最も高いのは等級1である。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

選択肢4の耐震等級は、数字が大きいほど要求される耐震性能が高く、等級3が最も高い等級です。等級1を最上位とする記述は逆です。試験の順位の1位とは異なり、性能の段階を1から上へ積み上げる表示になっています。
住宅性能表示制度は、住宅の性能を共通の基準で評価し、比較しやすくする制度です。構造の安定については、地震に対する倒壊等防止と損傷防止を分けて耐震等級を表示します。倒壊等防止の等級1は、建築基準法が想定する極めて稀な地震による力に対し、倒壊・崩壊等しない程度の水準です。等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の力を基準にした水準になります。
たとえば基準となる設計用の力を100とすれば、等級1が100、等級2が125、等級3が150の力に対応するイメージです。ただし「震度が1.5倍」や「被害が必ず3分の2になる」という意味ではありません。定められた評価方法による地震力の水準を比較しています。等級の数字と、表示する性能の対象を合わせて読むことが大切です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適切です。直接基礎については、基礎の構造方法と形式を表示します。直接基礎は、底面から地盤へ荷重を伝える基礎で、べた基礎や布基礎などの形式があります。これは、何をどう造って地盤に支えるかという情報であり、耐震等級のように全てを同じ段階の数字で示す事項ではありません。基礎形式の名称だけで建物全体の耐震等級や、個別地盤への適否まで決まるわけではない点にも注意します。

選択肢2

(2)適切です。耐積雪等級は、施行令に定める多雪区域にある住宅に適用される表示です。雪が屋根などへ積もった際の荷重によって、構造体が倒壊・崩壊しにくいことや損傷しにくいことを扱います。対象外の地域では雪荷重への配慮が一切不要、という意味ではありません。性能表示項目の適用範囲と、建築基準法に基づく各地域の積雪荷重の検討は区別します。

選択肢3

(3)適切です。耐風等級は、暴風による力に対する構造躯体の倒壊・崩壊等のしにくさと、損傷の生じにくさを表示します。構造躯体は、主要な柱、梁、壁、床、基礎など建物を支える部分です。窓の気密性やすき間風の入りにくさ、屋根材一枚の飛散性能などだけを指す等級ではありません。地震とは荷重の発生の仕方が違うため、耐震等級が高ければ耐風の全項目も自動的に同じ評価になるとはしません。

選択肢4

(4)最も要求水準が高いのは等級3で、不適切です。等級1、2、3の順に、基準となる地震力に対する要求が高くなります。倒壊等防止では等級2が1.25倍、等級3が1.5倍です。表示は住宅を評価した時点の基準への適合を示すもので、将来のあらゆる地震で無傷を保証する順位ではありません。倒壊を防ぐ性能と、損傷を抑える性能も分けて表示するため、何に関する等級かを省略せずに確認します。

周辺知識

住宅の構造性能を考えるときは、「人命を守るために倒壊を防ぐこと」と「日常の使用を続けるために大きな損傷を抑えること」を分けます。非常に大きな地震に対しては、一定の損傷や塑性変形を受けながら倒壊を防ぐ設計の考え方があります。倒壊しなかったことと、修理なしで使い続けられることは同じではありません。
性能表示は、こうした異なる目的を項目に分け、等級や形式などの定められた方法で示します。構造の安定には地震・風・雪への抵抗のほか、地盤や基礎に関する事項も含まれます。等級で表示するものと、基礎形式のように内容を表示するものがあるので、全てを一つの総合点へまとめて読むことはできません。
また、地震力の1.25倍や1.5倍は、評価方法で用いる力の倍率です。震度は地面の揺れの強さの区分で、単純な比例目盛ではありません。建物の揺れや被害は、周期、地盤、配置、施工、経年状態などでも変わります。数字を大きい順に並べるだけでなく、どの災害のどの損傷状態を、どの力の水準で確認した表示なのかまで理解すると、制度の意味が正確に把握できます。