学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅳ(構造) 問1
問題・正答・学習用解説
問題
図のような断面のX軸に関する断面二次モーメントIと断面係数Zとの組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。
選択肢
- (1)
25a4:45a3 - (2)
25a4:5a3 - (3)
10a4:45a3 - (4)
10a4:5a3
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正しい組合せは、I=10a4、Z=5a3です。断面二次モーメントIは、断面の材料が曲げの中心となる軸からどれだけ離れて配置されているかを表す量です。図の幅は、次のとおりです。 2a+a+2a=2a 、高さは4aで、X軸は上下の中央を通ります。 外側の長方形から左右のくぼみを引きます。幅b、高さhの長方形の中央の水平軸についてI=12bh3なので、外側は 12(2a)(4a)3=332a4 各くぼみは幅2a、高さ2aで、その中央もX軸上にあるため、2個分は 122(2a)(2a)3=32a4 したがって
I=(332−32)a4=10a4 となります。
断面係数Zは、曲げによる最大の応力度を計算するための量で、Z=ymaxIです。ymaxはX軸から最も遠い縁までの距離で、全高4aの半分の2a。よってZ=2a10a4=5a3です。Iの長さの4乗を距離で割るので、Zは長さの3乗になります。 各選択肢の解説
選択肢1
(1)IもZも、正しい値の4分の1になっています。断面の高さは、X軸の上側にa+a、下側にもa+aあり、合計4aです。寸法線の一部分を全高と読み違えないことが大切です。この組合せはZI=2aとなるため、断面係数へ換算する距離だけは合っています。しかし、元となるIが違えば、同じ距離で割っても正しいZにはなりません。外接長方形から2か所のくぼみを差し引いて確かめます。 選択肢2
(2)Z=5a3は正しいものの、I=25a4では両者がつながりません。Z=ymaxIを逆にすると ymax=ZI=2a となりますが、図のX軸から上端・下端までの距離は2aです。2aは左右のくぼみの横幅であり、X軸から縁までの縦方向の距離ではありません。数値を個別に暗記するのでなく、IとZが同じ断面の量として整合するかも検査すると見誤りを防げます。 選択肢3
(3)I=10a4は正しい値です。しかし、Z=45a3とすると、ZI=8aという、図に存在しない縁までの距離になってしまいます。断面係数を求める際に割るのは全高4aでも、その2倍でもなく、基準軸から最遠縁までの2aです。曲げ応力度は軸から離れるほど増えるため、その最大距離を使います。10a4を2aで割れば5a3となり、提示された断面係数の4倍です。 選択肢4
(4)二つの値がともに正しく、ZI=2aも図の最遠縁の距離と一致します。外接長方形のIは約10.67a4で、中央付近の左右を除いた結果が10a4となるため、大きさの見当も自然です。X軸近くの材料を除いても、軸から遠い上下の張り出しが残るので、Iは大きくは減りません。これが、単純な面積割合だけでは断面の曲げへの抵抗を評価できない理由でもあります。 周辺知識
断面二次モーメントの「二次」は、軸からの距離を2乗して面積に掛けることを意味します。小さな面積をdA、軸からの距離をyとすれば、その寄与はy2dAです。すべて足したものを I=∫y2dA と書きます。積分を習っていなくても、「断面を小さなマスに分け、各マスの面積×距離2を合計する」と考えれば意味がつかめます。同じ材料量でも、中央より上下の遠い場所へ置く方が曲がりにくくなります。 組合せ断面では、部品ごとの軸に注意します。本問の外側とくぼみは、いずれも中央軸がX軸と重なるので、そのまま加減できます。中央軸がずれた長方形を足すなら、ずれの距離dと面積AによるAd2も加える必要があります。 一方、Zは最大曲げ応力度σmax=ZMに使います。Mは曲げモーメントで、力×距離の単位です。たとえばMをN⋅mm、Zをmm3にそろえると、応力度はN/mm2になります。上下非対称の断面では、上縁と下縁で軸からの距離が異なり、断面係数も二つになる点まで理解しておきましょう。