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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅲ(法規) 問1

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    建築物に設ける消火用の貯水槽は、「建築設備」に該当する。
  2. (2)
    建築材料の品質における「安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分」には、屋外階段で防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるものも含まれる。
  3. (3)
    高さ4mの記念塔の工事用の図面は、「設計図書」に含まれる。
  4. (4)
    同一敷地内に二つの地上2階建ての建築物(延べ面積はそれぞれ400m²及び200m²とし、いずれも耐火構造の壁等はないものとする。)を新築する場合において、当該建築物相互の外壁間の距離を5mとする場合は、二つの建築物は「延焼のおそれのある部分」を有している。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3です。法律でいう「設計図書」は、建築物の工事を実施するための図面と仕様書を指します。仕様書とは、図面だけでは表しにくい材料の品質や施工方法を書いた文書です。日常生活で工事の図面をすべて設計図と呼ぶことと、法律の定義に含まれることは別です。
記念塔のように建築物ではない工作物でも、政令が指定した種類・規模なら、建築物の確認などの規定を読み替えて適用します。これを「準用」といいます。しかし、記念塔について指定されているのは高さが4mを「超える」ものです。本問の高さはちょうど4mであり、4m超という条件を満たしません。したがって、この記念塔の工事用図面を、準用によって法定の設計図書に含めることはできません。
例えば4.1mの記念塔と4.0mの記念塔では、この規模判定の結果が変わります。図面を作成する必要性や図面の詳しさではなく、対象物の種類と法令の適用範囲から判定するのが要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)正しい記述です。建築設備は、建物の形をつくる柱や壁とは別に、建物を使うための機能を担う設備です。法の定義には給排水、換気、暖房などとともに消火設備が含まれます。消火用の貯水槽は、火災時に消火活動へ供給する水を蓄えておく設備なので、建物に設けたものはこの消火設備に当たります。単に『水をためる容器』という形だけで判断せず、何のために建物へ設置されているかを読み取ります。

選択肢2

(2)正しい記述です。建築材料の品質を規制する目的は、重さに耐えることだけでなく、火災時の安全や衛生を保つことにもあります。屋外階段は、火災のときに人が逃げる通路になるため、その材料の性能が人命に関わります。このため、国土交通大臣が定める防火上重要な屋外階段も対象に含まれます。『重要な部分とは柱・はりなどの構造部材だけ』と限定すると、法律が守ろうとする防火上の機能を取り落としてしまいます。

選択肢3

(3)誤りです。記念塔は、法令上指定される高さが4m超であるかを先に確認します。本問は4mちょうどなので、指定工作物として建築物の規定を準用する範囲に入りません。工事のための図面が存在しても、それだけで建築基準法上の設計図書になるわけではありません。『4m以上』と『4mを超える』の違いが結論を分けます。なお、煙突など別種の工作物には別の高さ基準があり、記念塔へ流用しないようにします。

選択肢4

(4)正しい記述です。同一敷地の小さな建物同士は、延べ面積の合計が500m²以内なら一つの建物とみなす扱いがあります。しかし本問は400+200=600 m2\displaystyle 400+200=600\,\mathrm{m}^{2}なので対象外です。外壁間5mの中心線は、各外壁から2.5mの位置です。延焼のおそれを判定する距離は1階で3m以内、2階以上で5m以内なので、2.5mはどちらにも入ります。耐火構造の壁等による除外条件もないため、二つの建物に対象となる外壁部分があります。

周辺知識

法律の用語は、その規定が何を守るためのものかと一緒に整理すると覚えやすくなります。建築設備は建物の機能、指定建築材料は安全に関わる材料の品質、設計図書は工事を実施するための情報、延焼のおそれのある部分は隣から火が移りやすい位置を扱っています。同じ建物を見ていても、分類の目的が違うのです。
特に『主要構造部』『構造耐力上主要な部分』『安全上、防火上又は衛生上重要な部分』は、似た言葉でも範囲が同じではありません。避難に重要な階段は、建物全体の重さを支える柱とは役割が違っても、防火上は重要になり得ます。問題文の名称を短縮しすぎず、何の規定の分類かを確認しましょう。
数値の境界も丁寧に扱います。4m超には4mを含まず、500m²以内には500m²を含みます。延焼範囲の距離は、隣地境界線、道路中心線、同じ敷地内の建物間の中心線など、条件に応じた基準線から測ります。建物間の距離そのものと、外壁から判定用の中心線までの距離を取り違えないことが大切です。