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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問17

問題・正答・学習用解説

問題

セメントモルタルによるタイル張り工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    屋内の吹抜け部分の壁タイル張り仕上げ面における打音検査は、モルタルが硬化した後、タイル用テストハンマーを用い、全面の12\displaystyle \frac{1}{2}程度に対して行った。
  2. (2)
    外壁タイルの引張接着強度を確認する試験体の個数については、100m²ごと及びその端数につき1個以上とし、かつ、全体で3個以上で実施した。
  3. (3)
    壁タイルの密着張りにおいて、タイルの目地の深さは、タイル厚さの12\displaystyle \frac{1}{2}以下とした。
  4. (4)
    下地が高強度コンクリートであったので、目荒しの工法は超高圧水洗浄法とし、吐出圧は150〜200N/mm²とした。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

選択肢1が不適当です。壁タイル張りの打音検査は、モルタルが硬化した後に全面について行います。半分だけでは、残りの面にある浮きなどを見逃す恐れがあります。吹抜けの壁であることを理由に、検査範囲を2分の1へ減らす扱いにはしません。
浮きは、タイルや下地のモルタルが接着面で離れ、内部に隙間ができている状態です。表面から見ただけでは分からない場合もありますが、軽くたたくと健全な部分とは違う音がすることがあります。タイル用テストハンマーを使う打音検査は、この音の違いなどから不良箇所を探します。
例えば壁全体が100m²なら、50m²を調べて良好でも、残り50m²の接着状態を確認したことにはなりません。高い吹抜けの壁からタイルが落ちると、人へ大きな被害を与え得るため、未確認の部分を残さないことが重要です。一方、引張接着強度を直接測る試験は、所定の数の試験体を使う別の検査です。「打音は全面」「引張試験は定めた数」という方法と対象を分けます。硬化前は材料の状態が安定せず、検査で傷める恐れもあるので、実施する時期も合わせて確認します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:不適当です。検査範囲を全面の2分の1にした点が誤りです。モルタルが硬化した後、タイル面全体をテストハンマーなどで調べ、浮きや不良の疑いを確認します。上の方は見えにくいから省く、半分で異常がないから残りもよい、といった判断はできません。吹抜けでは高い壁面を安全に検査するための足場や手順も計画します。全面の打音を行っても、接着強度の数値を全て測った意味ではないため、必要な引張試験などとは役割を分けます。

選択肢2

選択肢2:適当です。外壁タイルの引張接着試験は、100m²ごとと端数につき1個以上、全体で最低3個以上を確保する条件です。例えば面積250m²なら100、100、50の三つの区分で3個以上、80m²なら面積だけでは1個ですが最低条件により3個以上です。試験体を引っ張って、単位面積当たりの接着強度などを確認します。「端数は切り捨てない」「面積による数と全体の最低数の両方を満たす」が計算の要点です。全面をたたく打音検査の範囲とは別に数えます。

選択肢3

選択肢3:適当です。タイルの目地深さは、表面から目地モルタルの面までのくぼみの深さです。密着張りでタイル厚さの2分の1以下とする本肢は適当です。例えば厚さ8mmなら目地のくぼみは4mm以下です。深くへこませ過ぎると目地部分の納まりやタイルの端部の保護、水の扱いに影響します。ここで測るのは目地の「深さ」で、隣のタイルとの「幅」ではありません。同じ目地の寸法でも測る方向が違うため、断面を思い浮かべて厚さとの関係を確認します。

選択肢4

選択肢4:適当です。高強度コンクリートの表面は緻密で滑らかになりやすく、下地モルタルが十分に付着するよう表面処理を行います。本肢の超高圧水洗浄法、吐出圧150〜200N/mm2\displaystyle \mathrm{N}/\mathrm{mm}^{2}は適当な条件です。高い水圧で表面を適切に粗くし、弱い付着物なども除去します。N/mm2\displaystyle \mathrm{N}/\mathrm{mm}^{2}はMPaと同じ圧力の単位で、水道の水を軽く掛ける洗浄とは異なります。ただし、強く削るほどよいわけではなく、試験施工などで必要な粗さと躯体を傷めない状態を確認し、適切な方法で行います。

周辺知識

タイル仕上げは、タイル、張付けモルタル、下地モルタル、コンクリートなどが重なって一体に働きます。タイルだけが丈夫でも、どこかの接着面が剥がれれば落下する恐れがあります。そのため下地処理、材料の施工、仕上がった後の検査を一連で管理します。
打音検査は、不良の疑いを広い範囲から見つける方法です。引張接着試験は、選んだ場所の接着強度を数値で調べる方法です。両方とも接着に関係しますが、分かる内容が違います。試験でどこが破れたかを調べることも、タイルと張付け層の間か、下地の内部かなど、弱点を把握する手掛かりになります。
検査を最後に行うだけでは、品質をつくることはできません。下地が滑らか過ぎたり汚れていたりすれば、適切な材料を使っても付着に問題が生じます。目荒しによって接着しやすい状態をつくり、張付け材が乾き過ぎないうちに施工し、養生した後に確認します。数値の管理は、その工程の中で何を確かめるためかと合わせて理解しましょう。