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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問9

問題・正答・学習用解説

問題

型枠工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    コンクリート打放し仕上げ以外に用いるせき板は、特記がなかったので、「合板の日本農林規格」第5条「コンクリート型枠用合板の規格」による、表面がB、かつ、裏面がCの品質のものとし、厚さを12mmとした。
  2. (2)
    計画供用期間の級が「標準」の柱のせき板の存置期間をコンクリートの材齢で決定する施工計画において、存置期間中の平均気温が25℃と予想されたので、高炉セメントB種を用いたコンクリートについては、せき板の存置期間を4日とした。
  3. (3)
    型枠設計用のコンクリートの側圧は、側圧を求める位置から上のコンクリートの打込み高さに、フレッシュコンクリートの単位体積重量を乗じた値とした。
  4. (4)
    普通コンクリートを用いた建築物の型枠の構造計算において、型枠に作用する鉛直荷重のうち固定荷重は、鉄筋を含んだ普通コンクリートの単位容積重量に部材厚さを乗じた値に、型枠重量を加えた値とした。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

選択肢2が不適当です。計画供用期間の級が標準で、高炉セメントB種を用いた柱のせき板を材齢で取り外す場合、存置期間中の平均気温が15℃以上なら5日以上を確保します。25℃という本肢の条件でも、4日では必要な日数に1日不足します。
せき板はコンクリートに直接接して形をつくる板です。まだ十分に強くなっていない時期に外すと、表面や角を傷めたり、必要な養生条件を失ったりします。コンクリートの強度は日数だけでなく温度やセメントの種類にも影響されるため、材齢で判定する表ではこれらの条件を分けています。
高炉セメントB種は、ポルトランドセメントに高炉スラグなどを混ぜたセメントです。一般に初期の強度の進み方が普通ポルトランドセメントと異なるため、同じ気温でも期間を混同しません。「暑いので早く強くなるはず」と予想して、表の5日を自己判断で4日へ短縮することはできません。一方、所定の強度試験によって取り外しを判断する方法は、単に日数で判断する本肢とは別です。さらに柱の側面のせき板と、床や梁を下から支える支柱も役割が違うため、同じ取外し条件として扱わないことが重要です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。せき板は、打ち込んだコンクリートの形と表面をつくる板です。本肢は打放し仕上げ以外に使う型枠用合板について、表面B、裏面Cの品質で厚さ12mmとする条件です。コンクリート面をそのまま見せる打放しの場合は、表面の出来栄えに別の要求があるため区分を確認します。合板は薄い木の板を重ねた材料で、厚さや品質が型枠としての性能に関わります。ただし板厚が合っていれば支持間隔は自由ではなく、桟木や支保工と一緒に荷重を支えられるようにします。

選択肢2

選択肢2:不適当です。この条件の材齢による判断では、平均気温15℃以上の高炉セメントB種は5日以上で、4日ではありません。存置期間は型枠を付けたままにしておく期間、材齢は打込みから経過した日数です。気温25℃だけを見て、普通ポルトランドセメントなど別の区分の数字を選ばないようにします。必要な強度を試験で確認する別の方法を採ったという条件も本肢にはありません。セメントの種類、平均気温、部位、判断方法をそろえて該当する期間を選びます。

選択肢3

選択肢3:適当です。フレッシュコンクリートを液体として考えると、ある位置の側圧は、その位置より上の打込み高さhと単位体積重量γを用いてp=γh\displaystyle p=\gamma hと表せます。例えばγ=24 kN/m3\displaystyle \gamma=24\,\mathrm{kN}/\mathrm{m}^{3}、h=2 m\displaystyle h=2\,\mathrm{m}ならp=48 kN/m2\displaystyle p=48\,\mathrm{kN}/\mathrm{m}^{2}です。下へ行くほど上にあるコンクリートが高くなるため、側圧も大きくなります。単位の計算でもkN/m3\displaystyle \mathrm{kN}/\mathrm{m}^{3}にmを掛けてkN/m2\displaystyle \mathrm{kN}/\mathrm{m}^{2}となり、面積当たりの力になります。本肢はこの液圧に基づいて側面の型枠に働く力を求めています。

選択肢4

選択肢4:適当です。固定荷重は、常に存在する材料などの重さです。床のコンクリートの単位面積当たりの重さは、鉄筋を含む単位容積重量に厚さを掛けて求め、さらに型枠自身の重さを加えます。例えば25kN/m3\displaystyle \mathrm{kN}/\mathrm{m}^{3}、厚さ0.2mならコンクリート部分は5kN/m2\displaystyle \mathrm{kN}/\mathrm{m}^{2}です。その上に型枠重量を足します。作業員や機器、打込み時の衝撃などは別途考える荷重であり、この固定荷重の算定だけで全ての荷重を数えたことにはなりません。重さの由来ごとに整理します。

周辺知識

型枠は、形をつくるせき板と、それを支える桟木や支保工などから構成されます。柱や壁の側面では、流動するコンクリートが横へ押す側圧が問題になります。床や梁の下面では、まだ自分で荷重を支えられないコンクリートの重さが問題になります。同じ型枠でも、作用する力の向きと支える役割が違います。
取り外しの判断も部位ごとに異なります。側面のせき板を外しても、床や梁を支える支柱まで外してよいとは限りません。必要な強度や施工荷重を確認し、コンクリート自身が支えられる状態になってから段階的に撤去します。取外し後に必要な養生を続けることも大切です。
荷重の計算では単位を確かめます。単位体積重量kN/m3\displaystyle \mathrm{kN}/\mathrm{m}^{3}に高さや厚さmを掛けると、kN/m2\displaystyle \mathrm{kN}/\mathrm{m}^{2}という面積当たりの力になります。ただし、同じ単位でも高さを掛けた側圧と厚さを掛けた床の自重では対象が違います。どの部分へ、どの方向に働く力を求めているかを先に描き、材料の強度が育つまで安全に支える計画へつなげます。