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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問7

問題・正答・学習用解説

問題

地業工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    アースドリル工法において、表層ケーシング以深の孔壁の保護に用いられる安定液については、孔壁の崩壊防止や、コンクリートとの置換を考慮して、コンクリートと比べて高粘性、かつ、高比重のものとした。
  2. (2)
    サンドコンパクションパイル工法の補給材として、再生砕石のRC-40を用いて締固めを行った。
  3. (3)
    既製コンクリート杭の施工精度は、特記がなかったので、鉛直精度1100\displaystyle \frac{1}{100}以内、杭心ずれ量を杭径の14\displaystyle \frac{1}{4}以下、かつ、100mm以下として管理した。
  4. (4)
    セメントミルク工法において、掘削中は孔壁の崩壊を防止するため安定液を使用し、アースオーガーが予定の支持層に達した後、根固め液を注入し、アースオーガーが正回転のまま杭周固定液を注入しながら引き抜いた。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

選択肢1が不適当です。安定液は孔壁を保護すると同時に、コンクリートを打ち込んだときに上へ押し出され、置き換わる必要があります。コンクリートより高比重・高粘性とする本肢は、この置換を難しくしてしまいます。コンクリートより軽く、適切な比重と粘性を持つ状態に管理します。
アースドリル工法では、地中へ掘った孔が崩れないよう、表層を鋼製の筒であるケーシングで支え、その下などでは安定液を用います。液の圧力や孔壁表面の保護作用によって、地盤が孔の中へ崩れ込むのを抑えます。安定液は水へベントナイトなどを混ぜて性質を調整したもので、単に重い液ならよいわけではありません。
その後は孔の下部からコンクリートを打ち込み、安定液を上方へ追い出して杭をつくります。重く粘り過ぎる液が残ると、コンクリートと混ざったり、適切に入れ替わらない部分をつくったりして、杭の品質を損ねる恐れがあります。掘削中に壁を守る段階と、打込み時に置換される段階の両方で必要な性質を満たします。「崩れにくくする」という一つの目的だけから、比重や粘性を無制限に高くしないことが判断の要です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:不適当です。高比重で高粘性の液ほど孔壁の保護に有利とだけ考え、コンクリートとの入替えを忘れた記述です。孔内へ入れた安定液は、完成した杭の主要な材料として残すものではありません。下から入るコンクリートに押されて上へ出る必要があるため、比重や粘性を適切な範囲に管理します。掘削で土砂が混ざると性質も変わるので、使い始めだけでなく施工中も確認します。孔壁の安定、土砂の混入、置換のしやすさを合わせて管理する材料として理解します。

選択肢2

選択肢2:適当です。サンドコンパクションパイル工法は、地盤内へ材料を入れて締め固めた柱をつくり、周辺を含む地盤を改良する工法です。本肢の再生砕石RC−40\displaystyle C-40を補給材に用いる扱いは適当です。再生砕石は、コンクリート塊などを破砕して所定の粒度へ調整した材料です。工法名にサンドとあっても、使用できる材料が常に天然の砂だけと決まるわけではありません。ただし、再生材なら何でもよいのではなく、品質、粒度、使用条件を確認して、設計した改良体をつくります。

選択肢3

選択肢3:適当です。鉛直精度1100\displaystyle \frac{1}{100}以内は、鉛直方向の長さに対して横へのずれが100分の1以内となる傾きの条件です。杭心ずれは、平面上で設計した杭の中心からずれた量です。杭径400mmなら4分の1は100mmなので上限100mm、杭径300mmなら75mmが上限になります。「4分の1以下」と「100mm以下」の両方を満たす小さい値を採ります。傾きと平面位置は別の誤差であり、一方が良好でも他方の確認は必要です。基礎への力の伝わり方に関係する管理です。

選択肢4

選択肢4:適当です。セメントミルク工法では、先に掘った孔へ既製杭を設置し、先端や周囲をセメント系の液で固めます。安定液は掘削中の孔壁保護、根固め液は支持層付近の先端の支持、杭周固定液は杭の周りを固めるための材料です。予定の支持層へ達した後に根固めを行い、オーガーを正回転のまま固定液を注入しながら引き抜く本肢の手順は適当です。似た液でも目的と使う時点が違います。先端を支持させる部分と杭周囲を一体にする部分を分けて理解しましょう。

周辺知識

地業工事は、建物の基礎の下で地盤の支持を確保する工事です。杭で深い地層へ荷重を伝える方法と、地盤そのものを改良する方法などがあります。サンドコンパクションパイルの改良体と、建物を支えるコンクリート杭は、どちらも地中の柱状のものでも目的や材料が異なります。
杭工事では、掘削中、建込み中、完成後で必要な働きが変わります。安定液は掘削孔を保つために働き、場所打ち杭ではコンクリートに置き換えられます。既製杭を使うセメントミルク工法の根固め液や固定液は、硬化して先端や周囲の力の伝達に関わります。液体という見た目だけで同じ役割にまとめないようにします。
寸法管理は、狙った位置へ狙った向きで杭をつくるためのものです。杭がずれると基礎梁などの荷重位置と合わず、想定外の曲げなどが生じ得ます。また、許容値に二つの上限がある場合は小さい方、二つの下限がある場合は大きい方を選びます。本問の杭心ずれは上限なので、小さい方が支配すると理解すれば、径が変わる計算にも対応できます。