学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅳ(構造) 問6
問題・正答・学習用解説
問題
次の架構のうち、静定構造はどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
図1が静定構造です。静定とは、骨組が不意に動いてしまう仕組みになっておらず、さらに支点の力や部材の力を、力とモーメントのつり合いだけで決められることです。図1の左下は水平移動を許すローラー、右下は水平・鉛直移動を止めるピンです。小さな白丸は部材同士の回転を許すヒンジを表します。
左支点の鉛直反力1個、右支点の水平・鉛直反力2個という合計3個は、骨組全体の水平力、鉛直力、モーメントの3条件から求められます。下辺の部材は両端がヒンジで、長さ方向の軸力を伝えます。この力は、上辺の途中のヒンジを利用して骨組を左右に分け、その片側のモーメントのつり合いから決められます。
下辺の部材が両柱脚の間隔の変化を止めるため、ローラーがあっても横へ自由に崩れる機構にはなりません。一方、上辺のヒンジが余分な回転拘束を解いているので、変形の計算を追加しなくても内力まで求められます。支点の数だけでなく、下辺の部材と上辺のヒンジを一組で読むことが判断の要点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)図1では、左ローラーと右ピンの合計3反力を全体のつり合いで求められます。さらに、下辺の軸力を未知数として片側の骨組を取り出すと、上辺のヒンジにはモーメントが伝わらないので、その点回りのつり合いから軸力を決められます。下辺が柱脚間の広がりを防ぐため安定です。ヒンジが多いから不安定と即断せず、移動を止める部材がどこにつながっているかを確認すると、静定であることが分かります。
選択肢2
(2)図2は左柱脚が固定、右柱脚がピンで、つり合いだけでは決まらない余分な拘束を持つ不静定構造です。左柱だけでも固定端によって荷重を支えられる一方、その上端から右支点への斜材も力を負担できます。その分担は、左柱がどのくらい曲がり、斜材がどのくらい伸び縮みするかで変わります。したがって部材の硬さと変形の一致条件が必要です。斜材があること自体は、静定であることを意味しません。
選択肢3
(3)図3は不静定ではなく、不安定な骨組です。左下はローラー、右下はピンであり、全節点がヒンジですが、図1にあった下辺のつなぎ材がありません。右柱が傾くように上部が横へ移動し、左柱脚もローラー上を滑る動きが可能です。斜材があっても、その動きでは部材の長さを最初から変える必要がありません。筋かいの本数だけを見るのでなく、支点の移動も含めて骨組全体が形を保てるかを調べます。
選択肢4
(4)図4は左柱脚が固定、右柱脚がローラーで、上の角は回転を止める剛接合です。未知反力は固定端の水平力・鉛直力・モーメントの3個と、右ローラーの鉛直力1個で、合計4個あります。全体のつり合いの3条件だけでは1個分が不足し、右支点の鉛直変位が0という変形条件を加える必要があります。安定ではありますが、1次不静定構造であり、静定構造には該当しません。
周辺知識
支点記号は、地面がどの動きを止めるかを表します。ローラーは図示された支持面に垂直な移動だけを止め、面に沿う移動と回転は許します。ピンは水平・鉛直移動を止めて回転を許し、固定端は水平・鉛直移動と回転をすべて止めます。それぞれの止める動きに対応して、反力や反力モーメントが発生します。
部材途中のヒンジは、左右の位置はつなぎますが相対回転を許すため、曲げモーメントを伝えません。剛接合は部材同士の角度を保とうとするので、曲げモーメントも伝えます。支点のローラーと、部材同士のヒンジを同じものとして扱わないようにします。
構造の判定では、まず荷重がなくても自由に動いてしまう仕組みがないかを考えます。これが安定性の確認です。安定であれば、次に未知の力がつり合いだけで決まるかを調べます。足りない式を部材の伸び・曲がりと接続条件から補う必要があるものが不静定です。未知数と式の数の比較は役立ちますが、特殊な部材配置では数が合っても動く場合があるため、図の動き方の確認も必要です。



