学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問13
問題・正答・学習用解説
問題
換気設備の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。第三種換気は、機械で空気を排出し、給気は自然に入ってくる空気に頼る方式です。排気に対して給気が不足すると、室内の圧力が周囲より低い負圧になります。ボイラーは燃料を燃やすために空気中の酸素を必要とするので、単に排気を強めると、燃焼用空気の不足や排ガスの逆流を招くおそれがあります。
したがって、ボイラー室では発熱を排出するだけでなく、燃焼に必要な空気を確実に供給する計画が重要です。一般には機械給気を行う第二種換気などを用い、排気経路や必要風量と組み合わせます。「熱い室だから換気扇で吸い出せばよい」と考えて第三種を選ぶ本肢は不適当です。
喫煙室では煙を外へ漏らさないために室内へ向かう気流が必要ですが、ボイラー室では燃焼機器への空気供給を損なわないことが重要です。同じ換気でも、何を外へ出し、何を中へ供給し、どちらへ空気を流したいかによって方式が変わります。部屋の用途と圧力の目的を結び付けて判断します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。喫煙室の出入口では、非喫煙場所から喫煙室へ向かう気流を以上確保することで、煙が廊下などへ流出するのを抑えます。大切なのは風速だけでなく向きです。強い風でも喫煙室から外へ吹けば目的と逆になります。また、室内で煙を循環させるだけではなく、区画や屋外への排気と合わせて煙の流出を防ぐ計画が必要です。開口部での気流を確認する理由を理解します。
選択肢2
(2)適当です。ソーラーチムニーは、太陽の熱で縦長の空間内の空気を暖め、上昇流を起こす仕組みです。暖かい空気は密度が小さく、上へ抜けるため、その分の空気が室内側から流れ込みます。南面に設けて日射を受け、頂部を延長して高さを確保すれば、温度差による換気を促進できます。風だけに頼る方式とは異なり、空気の温度差と上下の高さが換気を動かす要因になります。
選択肢3
(3)適当です。排気フードⅠ型を設けた火気使用室では、本肢ので有効換気量を算定します。は実状に応じた燃料消費量、は単位燃焼量に対応する理論廃ガス量なので、積は燃焼に伴う廃ガス量の尺度です。係数30には、このフード条件で必要な換気量を見込む意味があります。単なる室容積の何回分という計算ではなく、燃料と器具の使用条件に応じて求める点が重要です。
選択肢4
(4)不適当です。第三種換気でボイラー室を負圧にすると、煙道から出るべき排ガスが室内へ戻るなど、燃焼や排気を妨げるおそれがあります。燃焼には継続的な空気供給が必要なので、機械給気を用いる第二種換気などで給気を確保する計画が基本です。熱を排出する目的自体は必要ですが、それだけで方式を決めないようにします。臭気を閉じ込めたい便所の負圧計画を、そのまま燃焼機器の室へ当てはめられません。
周辺知識
機械換気は、給気と排気のどちらに送風機を使うかで整理できます。第一種は両方、第二種は給気、第三種は排気に機械を使います。第二種は室内を正圧にしやすく、第三種は負圧にしやすい傾向があります。第一種では給排気量の調整によって圧力を管理します。種別の番号が大きいほど性能が高いという順位ではありません。
空気は圧力の高い側から低い側へ流れるため、汚染物質を漏らしたくない室は周囲から空気が入るようにします。一方、外の汚れを入れたくない室や、確実な空気供給が必要な用途では、給気側を重視します。ただし実際の圧力は隙間、扉の開閉、風、温度差にも左右されます。
換気量の単位は1時間に入れ替える空気の体積、風速は空気の進む速さです。開口面積を、平均風速をとすれば体積流量はです。同じ風量でも出入口を広くすれば風速は下がるため、喫煙室の入口の条件では、排気量と開口の大きさを併せて確認する必要があります。