資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問11

問題・正答・学習用解説

問題

コンクリート工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    コンクリートの圧送中にベント管内でコンクリートが閉塞したので、圧力を解除した後、そのベント管を速やかに取り外し、閉塞して品質が変化したコンクリートを廃棄した。
  2. (2)
    梁及びスラブのコンクリートについては、壁及び柱のコンクリートの沈みが落ち着いた後に梁に打ち込み、その梁のコンクリートの沈みが落ち着いた後にスラブに打ち込んだ。
  3. (3)
    コンクリート充填鋼管造の柱(CFT柱)に使用する鋼管充填コンクリートにおいて、フレッシュコンクリートのブリーディング量については、特記がなかったので、0.1 cm3/cm2\displaystyle 0.1\,\mathrm{cm}^3/\mathrm{cm}^2以下とした。
  4. (4)
    普通コンクリートにおける構造体コンクリートの圧縮強度の検査で、受入検査と併用しない検査において、1回の試験における供試体については、任意の1台の運搬車から採取したコンクリート試料で作製した3個を使用した。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢4です。受入検査と併用しない構造体コンクリートの圧縮強度検査では、適切な間隔をあけた3台の運搬車から試料を採り、各車の試料で1個ずつ、合計3個の供試体を作製します。任意の1台から採った試料だけで3個作る方法は、本問の採取条件に合いません。
供試体とは、材料の性質を試験するために作る試料です。コンクリートでは円柱形などに固め、圧縮して壊れるときの力から強度を調べます。同じ1台のコンクリートから3個作れば、その車の試料内のばらつきは見られます。しかし、打込み中の別の時間に届いたコンクリートの違いは捉えにくくなります。
3台から採るのは、検査対象の施工範囲を、時間的にも偏らず代表させるためです。「3個」という個数だけが合っていても、採取元の条件が違えば適切な検査にはなりません。コンクリートの試験問題では、受入れ時の品質を調べるのか、構造体の強度を確認するのか、両者を併用するのかを先に読み取り、試料の採り方を選びます。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:ベント管は、コンクリートの圧送配管が曲がる部分です。ここが詰まると、ポンプ側に圧力が残り、管を外した瞬間にコンクリートが噴出する危険があります。先に圧力を解除してから取り外す手順は適当です。また、詰まった部分では材料分離などで品質が変わっている可能性があるため、そのコンクリートは廃棄します。再び流れるようになったから品質も元に戻ったとは限りません。人への危険を除く操作と、建物に不良材料を入れない措置を両方行います。

選択肢2

選択肢2:打ち込んだ直後のコンクリートは、材料の沈降や水の上昇によって少し沈みます。柱・壁の沈みが落ち着く前に上の梁や床まで一気につなぐと、部材の境目などに沈下ひび割れが生じやすくなります。先に柱・壁、次に梁、さらにスラブと、それぞれの沈みを考慮する本肢の順序は適当です。ただし、先のコンクリートが固まりすぎて一体化できなくなるほど待つ意味ではありません。沈みを待つことと、連続した部材として打ち継ぐことの両立が必要です。

選択肢3

選択肢3:CFT柱は、鋼管の内部をコンクリートで満たした柱です。ブリーディングは、固体の材料が沈むことに伴って、練混ぜ水の一部が上へ浮き出る現象です。本肢の上限0.1cm3/cm2\displaystyle \mathrm{cm}^{3}/\mathrm{cm}^{2}は適当で、単位面積当たりに出る水の体積を表します。水が過度に分離すると、鋼管内部に空隙や弱い部分を生じるおそれがあるため、流れやすさだけでなく分離の少なさも管理します。鋼管で周囲が見えなくなるので、充填前の材料の性質を確認することが特に重要です。

選択肢4

選択肢4:誤りは、3個すべてを任意の1台の試料だけから作る点です。受入検査と併用しない本問の検査では、適切な間隔を置いた3台からそれぞれ採り、1台につき1個、合計3個とします。3個の平均を取る場合でも、採取した範囲が一台に偏っていれば対象全体を十分に代表しません。学校の全学年の傾向を知りたいのに、同じクラスだけから何度も調べると偏りやすいことに似ています。試験の個数と試料の採取範囲は、別々に確認する必要があります。

周辺知識

コンクリートの検査には、現場へ届いた材料を確かめる受入検査と、構造体が必要な強度を持つことを確かめる検査などがあります。試験名が似ていても、調べる目的、試料の採り方、供試体の養生条件、試験する材齢が異なります。まず検査の目的を確認すると、数字だけを混同しにくくなります。
品質管理では、試験の結果だけでなく、その結果がどの範囲を代表しているかが重要です。同じ試料から何個も作ることは試験のばらつきを知る助けになりますが、別の運搬車や時間帯の違いまでは示しません。対象全体の中から適切に試料を選ぶ考え方を、サンプリングといいます。
また、コンクリートは運搬・圧送・打込み・養生の各段階で状態が変わります。材料分離を抑え、圧送の異常を処理し、沈みを考慮して打ち込み、必要な養生をすることが一続きの品質確保です。供試体の強度試験に合格していても、現場で空隙や不適切な打継ぎをつくってよいわけではありません。