学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問30
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、関係法令上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4です。低炭素建築物新築等計画の認定を申請する前に、必ず建築基準法の確認済証の交付を受けておくという順序は定められていません。認定申請と建築確認の手続を連携させる仕組みがあり、事前の確認済証取得を一律の条件とした点が誤りです。
低炭素建築物の認定は、エネルギーの消費等に伴う二酸化炭素の排出を抑えるため、建物の構造・設備等について所定の計画が基準に合うかを認める制度です。建築確認は、建物の計画が構造、防火、敷地等の建築基準関係規定に適合するかを確認する手続です。両者は目的と確認内容が違いますが、申請者の求めに応じて認定の手続の中で建築主事等へ計画を通知し、建築基準関係規定への適合を確認する仕組みがあります。
そのため、建築確認を先に終えなければ認定申請の入口へ進めないとはいえません。もちろん、建築確認が必要な建物で、低炭素の認定だけを理由に確認を全く省いて着工してよいわけでもありません。『先に確認済証を取得することが申請の必須条件ではない』ことと、『建築基準関係規定に適合する確認が不要』なことを区別します。複数の認定・確認がある場合は、目的、申請先、連携方法をそれぞれ読み取ります。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。新築住宅では、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任を負う制度があります。例えば柱や基礎等の構造、屋根等の雨漏り防止に関わる重要部分です。注文者や買主に不利な特約で、この法定責任を短くすることはできません。住宅の全ての部品を無条件に10年間保証する制度とは異なるため、対象部分と責任の内容を確認します。建てる側と買う側の専門知識等の差を考慮し、基本的な品質を守る制度です。
選択肢2
(2)適当です。本年度の建設業法では、診療所のような所定の工事で主任技術者等を工事現場ごとに専任とする額の基準は、建築一式工事では7,000万円以上です。本肢は3,500万円なので、その専任配置の基準未満です。主任技術者を置くこと自体と、他の現場と兼ねず専任で置くことを区別します。また、建築一式以外の工事の当時の3,500万円という基準を、この建築一式工事へ取り違えてはいけません。金額は後に改正されているため、本年度の基準を使います。
選択肢3
(3)適当です。長期優良住宅の認定は、建物を長く良好に使うための構造・設備と、建てた後の維持保全を一体で計画する制度です。自ら住宅を建築し、その後の点検や補修等を行う人は、長期優良住宅建築等計画を作成して所管行政庁へ認定申請できます。最初に丈夫な建物を造るだけでなく、状態を確認し、必要に応じて手入れを続けることが長持ちにつながります。新築時の性能と、使用後の維持保全の計画を組み合わせる点が本肢の要点です。
選択肢4
(4)誤りです。低炭素建築物新築等計画の認定申請に先立って、必ず確認済証を取得する必要はありません。認定手続と建築確認を連携させる法の仕組みがあるため、申請前の交付を一律に要求できません。ただし、低炭素の認定を受ければ構造や防火の確認が不要という意味ではありません。省エネ等の認定の基準と、建築基準関係規定への適合を、それぞれ適切な手続で確認します。別制度が並ぶとき、根拠なく申請順序を固定した点が誤りです。
周辺知識
住宅や建築物に関係する法律は、建てるときの安全だけでなく、品質、工事の体制、長期使用、環境性能を別々に扱います。品確法の新築住宅の責任は、引渡し後に重要部分の不具合が分かった場合の保護を定めます。建設業法の技術者配置は、工事を適切に施工する体制を確保します。長期優良住宅の認定は長く使うための性能と維持保全を、低炭素建築物の認定は二酸化炭素の排出を抑える計画を評価します。
技術者配置では、『配置が必要か』と『専任が必要か』を分けます。専任でなくてよいという結論は、技術者を一人も置かなくてよいという意味ではありません。さらに、主任技術者と監理技術者の区分、元請が下請に出す金額による条件、現場専任の請負代金の条件は別です。本問の3,500万円は建築一式工事の専任基準との比較に使います。
法令の金額や手続は改正されるため、過去問は出題年度の条件で判断します。また、認定制度が複数あっても、一方の認定が他方の条件を自動的に満たすわけではありません。制度の目的を押さえたうえで、申請を連携できる条文があるか、どの確認を誰が行うかを確認すると、不要な順序や義務を付け足す誤りを防げます。