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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問1

問題・正答・学習用解説

問題

図のような建築物における延べ面積、建築物の高さ又は階数の算定に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、図及び【建築物の条件】に記載されていないことについては考慮しないものとする。【建築物の条件】建築面積:600m²昇降機塔の屋上部分の水平投影面積:30m²最下階の防災センター(中央管理室)の水平投影面積:75m²エレベーターの昇降路の各階の床面積の合計:40m²問1の図1

選択肢

  1. (1)
    容積率の算定の基礎となる延べ面積は、2,435m²である。
  2. (2)
    避雷設備の設置の必要性を検討するに当たっての建築物の高さは、15mである。
  3. (3)
    地階を除く階数は、3である。
  4. (4)
    階数は、5である。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は1です。容積率の算定に用いる延べ面積は2,465m²であり、2,435m²ではありません。昇降機塔の床面積30m²を除いてしまった点が誤りです。
まず図の各階の床面積を足します。事務所は600m²が4層あるので2,400m²、屋上の昇降機塔が30m²、最下階の防災センターが75m²です。全てを足すと2,505m²です。容積率の計算では、エレベーターの昇降路の各階面積合計40m²を算入しないので、次のように計算します。
2400+30+75−40=2465 m22400+30+75-40=2465\,\mathrm{m^2}
昇降路はエレベーターのかごが上下する縦の空間です。一方、屋上の昇降機塔は、そのための屋上部分であり、階数への算入を省けることと、床面積を全て容積率から省けることは別です。建築面積600m²の8分の1は75m²なので、塔屋30m²は階数不算入の面積条件に入りますが、その事実だけで床面積30m²まで消えるわけではありません。防災センターも、名称に防災とあるだけで備蓄倉庫等の面積不算入に置き換えられません。算定する目的ごとに、除ける部分を選ぶことが要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)誤りです。2,435m²は、事務所2,400m²と防災センター75m²を足し、昇降路40m²を引いた値で、昇降機塔30m²が抜けています。正しくは2,465m²です。塔屋の階数不算入と、容積率用の延べ面積不算入は別の制度です。図中の30m²と、問題文の昇降路40m²も別の量なので、一方を数えないことにより他方も自動的に除かれるわけではありません。最初に各階の床面積を漏れなく合計してから、認められる不算入だけを差し引きます。

選択肢2

(2)適当です。避雷設備の高さの判定では、屋上昇降機塔の高さを算入します。図では建物が地面と接する位置の高低差が3mで、その平均の高さに地盤面を置きます。低い側の接地位置から平均地盤面までは1.5m、そこから塔屋の頂部までが15mとなります。道路側の低い位置からそのまま測るのではありません。また、面積が小さい塔屋の高さを他の高さ制限で除ける場合でも、雷への対策では実際の高い部分を含めるので、その特例を使いません。

選択肢3

(3)適当です。地階は、床が地盤面より下にあり、床面から地盤面までがその階の天井高さの3分の1以上となる階です。図の最下部の事務所は床から平均地盤面まで1.5mで、階の高さ3mの3分の1に当たる1m以上あるため地階です。さらに下の防災センターも地階となります。したがって、四つの事務所のうち地上の3層が『地階を除く階数』に入り、答えは3です。外から床の一部が見えるから地上階、と見た目だけで決めないようにします。

選択肢4

(4)適当です。階数は、事務所4層と最下階の防災センター1層を合わせて5です。屋上の昇降機塔30m²は、建築面積600m²の8分の1である75m²以下なので階数に算入しません。一方、防災センターも75m²ですが、職員等が業務を行う中央管理室で、地階の倉庫や機械室等の不算入とは異なります。面積だけで除外せず、用途の条件も見る必要があります。建物の一部だけ地下へ深くなっている場合も、階数は最大となる部分で数えます。

周辺知識

面積や高さの特例を読む際は、床面積、容積率用の延べ面積、階数、高さを分けて扱います。塔屋が階数から除かれても、その床面積がなくなるわけではありません。また、ある高さ制限で塔屋を算入しなくても、避雷設備の判定では算入するなど、同じ部分でも算定目的によって扱いが違います。
地盤面は、建物周囲のどこか一か所の地面を勝手に選ぶものではなく、建物が周囲の地面と接する位置の平均の高さです。高低差が大きい場合には、3m以内ごとに区分する規定もあります。本問は高低差3mで、図の接地線から平均の高さを考えます。地下階を数える基準もこの地盤面との関係で決まるため、最初に基準の水平線を明確にする必要があります。
小さな屋上部分や地下の機械室等を階数に数えない特例には、建築面積の8分の1以下という面積条件に加え、用途の条件があります。人が常時仕事をする中央管理室を、機械が置かれるだけの室と同じに扱うことはできません。図の各部分に用途・床面積・高さを記入し、何を求める計算かごとに算入の一覧を作ると、塔屋を一度除いたら全ての計算から除くようなミスを防げます。