学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問18
問題・正答・学習用解説
問題
防災設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は(3)です。プロパンガスを主成分とするLPガスは空気より重く、漏れると床の近くへたまりやすくなります。そのため、ガス漏れ警報器の検知部は床に近い低い位置へ設置します。天井面から0.3m以内とする本肢は、軽いガスの検知位置と取り違えています。
一般的なLPガス用警報器の設置では、燃焼器から水平距離4m以内、床上30cm以内の低い位置とします。本肢の水平距離8m以内という値も、LPガスの条件として適切ではありません。漏れたガスが検知部へ届くまで遠すぎないことと、たまりやすい高さにあることの両方を確認します。
一方、一般的な都市ガスのように空気より軽いガスでは、上へたまりやすいため高い位置で検知します。警報器を置く高さは、火災の熱や煙が上がるという印象ではなく、検知対象のガスの密度から判断します。また、機器からの湯気や油煙、風通しなども動作に影響するため、単に床に近ければどこでもよいわけではありません。対象物の性質と、実際に検知部へ届く経路を結び付けて考えます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。排煙口は防煙区画の各部分から、いずれかの排煙口までの水平距離が30m以下となるよう配置します。区画の一端だけに設けると遠い部分の煙を十分処理できない場合があるため、平面上の届き方を確認します。煙が移動する空間を防煙垂れ壁などで区切り、その区画ごとに排煙口を考えるのが基本です。30mは高さや斜め距離ではなく水平距離である点も読み取ります。
選択肢2
(2)適当です。天井高さ12mのロビーでは、一般的な閉鎖型ヘッドが熱を受けて作動し、適切に散水する条件を確保しにくくなります。高天井に対応する放水型ヘッドなどの方式を用いる計画は適当です。水を出す装置が天井に付いていれば全て同じ性能になるわけではありません。火災を検出するまでの時間、床付近への水の到達、放水範囲などを天井高さと合わせて考える必要があります。
選択肢3
(3)不適当です。LPガスは空気より重いので、床近くに検知部を置きます。一般的には燃焼器から水平4m以内、床上30cm以内であり、天井近く・8m以内という本肢の条件は逆の種類のガスの考え方です。熱い煙が上へ行くことと、常温で漏れた重いガスが低い所へたまることを混同しないようにします。ガス名を見たら、まず空気より軽いか重いかを確認して設置高さを判断します。
選択肢4
(4)適当です。客席誘導灯は、劇場などで暗い客席内から安全に通路をたどれるようにする設備です。通路床面の水平面照度を0.2lx以上確保する条件は適当です。出口の位置を示す表示灯と、足元の通路を照らす設備では役割が違います。客席が暗い状態でも段差や進む経路を認識できるようにするため、照明器具そのものの明るさではなく、歩く床面へ届く光の量を確認します。
周辺知識
防災設備の配置条件は、危険がどこへ移動するか、利用者がどこを通るかから理解できます。煙は高温で上へ集まりやすく、排煙口はその流れと防煙区画に応じて配置します。LPガスは重いため低い位置で検知し、客席誘導灯は人が歩く床を照らします。同じ「高い所」「低い所」でも、対象の性質と目的によって理由が違います。
また、距離の基準では、水平距離、床からの高さ、天井からの距離を区別します。図にして矢印を描くと、8mや0.3mという数字だけを暗記したときの入替えを防げます。検知部の上端か下端かなど、機器のどの位置を測るかも個々の基準で確認します。
スプリンクラーでは、天井が高いほど熱が到達する前に広がったり、散水が必要な範囲へ届く条件が変わったりします。検知と放水を建物の空間条件に合わせることが重要です。防災設備は、法令上の数値を満たすとともに、その数値がどの現象への対策なのかを理解して配置することで、図面上の位置と実際の機能を結び付けられます。