学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問13
問題・正答・学習用解説
問題
換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。クリーンルームは、空気中の粒子などを所定の範囲に抑えた室です。空気清浄度のクラスは、一定の粒径以上の粒子が空気の一定体積にどれほど含まれてよいかを示します。同じ粒径で比較すると、クラスの数字が大きいほど許される粒子数が多く、清浄度は低くなります。本肢は「値が大きいほど高い」としており、関係が逆です。
成績の点数や星の数のように、大きいほど優秀という表示ではありません。クラスの数は、残っていてよい汚れの尺度と関係しています。より小さなクラスを満たすには、室内へ持ち込まれる粒子や室内で発生する粒子を、さらに少なく抑える必要があります。
また、清浄度を比べるには対象とする粒径をそろえます。大きな粒子だけを数える場合と、小さな粒子まで数える場合では粒子数が変わります。換気用フィルターも、質量で評価するか個数で評価するかによって捕集率の数値が異なります。どの大きさの粒子を、何の単位で、どの方法で数えているかを確認することが、この問題全体の重要な視点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。RI施設では、放射性物質によって汚染されるおそれのある空気を、ほかの場所へ再循環させないことが重要です。そのため供給した空気を全て排気するオールフレッシュ方式が一般に用いられます。通常の空調のように室内空気の一部を戻して再利用すると、汚染を拡散させる可能性があります。もちろん、排気も適切な処理と管理が必要で、単に外へ出せばよいという意味ではありません。
選択肢2
(2)適当です。ドラフトチャンバーは、作業で出る有害な蒸気などを囲いの内部へ吸い込み、作業者側へ出さないための装置です。開口面から内向きの流れを保つには、必要な制御風速に開口面積を掛けた風量が必要です。例えばにの流れなら、です。開口を大きくすると同じ風速でも必要風量が増えるので、作業用の開口の状態を含めて計画します。
選択肢3
(3)適当です。質量法は粒子の重さ、計数法は粒子の個数に注目します。大きな粒子は一個が重いため、質量では強く影響しますが、小さな粒子が多数ある状況は個数で強く表れます。大粒子をよく取れて微粒子が通るフィルターでは、質量捕集率が高くても計数捕集率が同じとは限りません。同じフィルターで数値が違っても矛盾ではなく、評価している量の違いから説明できます。
選択肢4
(4)不適当です。清浄度クラスの数字が大きいほど、同じ粒径の粒子について許される濃度が大きくなり、清浄度は低くなります。高度に清浄な室ほど小さいクラスで表されます。クラスの数字だけを見るのではなく、どの粒径以上を何の空気について数えた条件かも確認します。また、粒子数が少ないことと、あらゆる有害ガスや微生物の影響が自動的になくなることは同じではありません。
周辺知識
空気をきれいに保つ対策は、発生を減らす、広がる前に捕まえる、入ってきた粒子を除く、適切な方向へ流す、という段階に分けられます。ドラフトチャンバーは発生源の近くで捕まえる局所排気、フィルターは空気から粒子を除く装置、オールフレッシュは汚染空気を室内へ戻さない方式です。
粒子の大きさはμmで表すことが多く、1μmは1mの百万分の1です。直径が10倍の球形粒子は、同じ密度なら体積も質量も1000倍になります。そのため、大きな粒子一個が、非常に多くの小粒子と同じ重さになる場合があります。質量捕集率と計数捕集率が違う理由が、この体積の関係から理解できます。
クリーンルームではフィルターの性能に加え、衣服や人の動き、材料の搬入、扉の開閉も粒子の発生や侵入へ影響します。清浄な空気を多く送るだけでなく、どこから汚れが生じ、どこへ流れるかを計画します。また、清浄度クラスは所定の測定で確認するもので、設計図に高性能フィルターを記載しただけで達成が証明されるわけではありません。