学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問3
問題・正答・学習用解説
問題
室容積200 m3の居室に25 人の在室者がおり、換気回数4 回で換気がなされているとき、定常状態におけるこの室内の二酸化炭素濃度として最も適当な値は、次のうちどれか。ただし、一人当たりの二酸化炭素発生量は0.016 m3/(h・人)とし、在室者から発生した二酸化炭素は直ちに室全体に一様に拡散するものとする。また、外気の二酸化炭素濃度は400 ppmとし、隙間風は考慮しないものとする。選択肢
- (1)
700ppm
- (2)
800ppm
- (3)
900ppm
- (4)
1,000 ppm
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は(3)の900ppmです。定常状態とは、室内の二酸化炭素濃度が時間とともに増えも減りもしない状態です。在室者が出す量と、換気で室外へ正味に排出する量がつり合います。換気回数4回/h、室容積200m3なので、換気量は次のように求めます。 Q=4×200=800m3/h 25人の二酸化炭素発生量は次のとおりです。
G=25×0.016=0.4m3/h 室内外濃度差をC−Coとすると、つり合いはQ(C−Co)=G。したがって濃度上昇分は次のようになります。 QG=8000.4=0.0005 これは体積の割合なので、百万倍してppmへ直します。
0.0005×106=500ppm 外気自体にも400ppmの二酸化炭素が含まれるため、室内濃度は次のとおりです。
C=400+500=900ppm 500ppmは室内濃度の全量ではなく、在室者によって外気より増える分です。外気濃度を足すこと、換気回数を換気量へ直すこと、無次元の割合をppmへ直すことの三段階を順に確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。700ppmでは外気400ppmとの差が300ppmしかありません。換気量800m3/hでこの差を排出する量は、次の値にとどまります。 106800×300=0.24m3/h 在室者が出す0.4m3/hとつり合いません。排出より発生が多いため、濃度はさらに上がる状態です。答えの候補を式へ戻し、定常の条件である発生量と正味排出量が等しいかで確かめられます。 選択肢2
(2)不適当です。800という数値は、室容積200m3に換気回数4回/hを掛けた換気量800m3/hに一致しますが、濃度ppmとは別の量です。800ppmを仮定すると外気との差400ppmに対する正味排出量は0.32m3/hで、発生量0.4m3/hより小さくなります。計算途中で同じ数字が出ても単位が違えば答えにはできません。空気の体積流量と、その中に混ざる二酸化炭素の割合を分けます。 選択肢3
(3)適当です。900ppmなら外気400ppmとの差は500ppm、すなわち割合0.0005です。800×0.0005=0.4m3/hとなり、25人が出す量と一致します。外気中の二酸化炭素も入ってくるため、室内から出る総量ではなく、室内外の濃度差に換気量を掛けた正味の排出でつり合いを取ります。この戻し計算まで行うと、外気濃度を加える理由を確認できます。 選択肢4
(4)不適当です。1000ppmは空気環境の管理で見掛ける値ですが、本問の条件から計算される濃度ではありません。1000ppmなら外気との差は600ppmで、正味排出量は800×0.0006=0.48m3/hとなり、発生量0.4m3/hを上回ります。その状態なら濃度は下がる方向です。基準値を問う問題と、発生量・換気量から濃度を計算する問題を取り違えないようにします。 周辺知識
換気による濃度計算は、物質の出入りの収支です。二酸化炭素を含む外気が入り、人からも二酸化炭素が加わり、室内空気と一緒に排出されます。完全混合の仮定では、排気の濃度を室内全体の濃度と同じとして扱えます。定常なら、外気から入る量QCoと人体の発生量Gの和が、排出量QCに等しくなります。 換気回数は、1時間の換気量が室容積の何倍かを表します。4回/hだから15分ごとに古い空気が完全に全部なくなる、という意味ではありません。実際には新旧の空気が混ざりながら入れ替わります。また本問は隙間風を無視し、発生した二酸化炭素が直ちに一様に広がるとしています。現実には人の近くや換気の届きにくい場所で濃度が異なる場合があります。 式C=Co+QGから、人数が増えて発生量が2倍になれば濃度上昇分も2倍、換気量を2倍にすれば上昇分は半分と分かります。ただし半分になるのは外気との差であり、室内濃度全体ではないことを忘れないようにしましょう。