学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問9
問題・正答・学習用解説
問題
型枠工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢4です。せき板を外した後に湿潤養生を行わない本問の条件では、計画供用期間の級が「標準」の場合、圧縮強度10以上まで存置します。5に達しただけで、湿潤養生期間が終わる前に取り外すことは適切ではありません。取外し後に養生を続けるかどうかが判断の決め手です。
せき板はコンクリートに直接接して形を保つ板です。板が付いている間は表面からの水分の蒸発も抑えられます。これを外すと表面が空気へ露出するため、若いコンクリートが急に乾燥し、セメントの水和が十分に進まないおそれがあります。水和はセメントと水が反応して強さを育てる過程です。
5という取外しの基準だけを覚え、養生の条件を読み落とすと誤ります。板を外しても必要な湿潤養生を別の方法で続ける場合と、外した後は行わない場合では条件が異なります。また、本問は柱・梁側・壁のせき板であり、床や梁を下から支える支保工の撤去とも別です。何を外し、その後どのように材料を保護するかを一緒に判断します。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:打放し仕上げは、型枠を外したコンクリート面をそのまま見せる仕上げです。目違いや不陸を極めて少なくするため、JASのコンクリート型枠用合板の表面加工品で厚さ12mmを確認する本肢は適当です。せき板の表面や継目の状態が、そのままコンクリート面へ写ります。目違いは板の継目の段差、不陸は面の凹凸やうねりです。所定材料を選んだだけで仕上がりが保証されるわけではなく、支持間隔や組立精度、継目の処理も含めて管理します。
選択肢2
選択肢2:降伏強さと引張強さの4分の3を比べ、小さいほうの3分の2以下を許容値とする本肢は適当です。仮に降伏強さ240、引張強さ400なら、後者の4分の3は300で、小さい240に3分の2を掛けて160となります。降伏は大きな永久変形が始まる目安、引張強さは破断に関係する最大の強さです。二種類の材料特性を踏まえて安全側の値を定めます。大きいほうを選んだり、比較する前に一方だけへ係数を掛け違えたりしないようにします。
選択肢3
選択肢3:型枠の構造計算で、施工時の水平荷重を鉛直荷重に対する割合で見込み、本問の計算条件では地震力を別途検討しない取扱いは適当です。コンクリートの打込み時には、資材や作業による偏り、横方向の作用も考えるため、真下への重さだけで計算しません。ここでの取扱いを「仮設物は横の力を考えなくてよい」と一般化しないことが重要です。型枠支保工の種類や高さなどに応じた水平荷重、接合、つなぎ材の条件を満たし、全体の安定を確保します。
選択肢4
選択肢4:取外し後に湿潤養生を行わないため、標準の本問では圧縮強度10以上までせき板を存置します。5で外す点が不適当です。せき板を外せるだけの形状保持と、表面の水和・耐久性を確保する養生は別の要求です。板を外した後に散水や覆いなどで必要な養生を続ける条件を、本肢は明確に除いています。また、側面のせき板を外す条件を、まだ荷重を支える床下や梁下の支保工の撤去へ流用しないことも大切です。
周辺知識
コンクリートは、表面が乾いたから強くなる材料ではありません。セメントと水の反応で強度と緻密さが増すため、初期に必要な水分を保つ養生が重要です。せき板は形をつくるだけでなく、その表面を覆う役割もあるため、取り外す時期とその後の養生を関連させて計画します。
型枠の材料、組立精度、支保工の強さは、それぞれ違う品質を守ります。表面加工した合板は仕上げ面、十分な支えは打込み中の安全、養生は硬化後のコンクリートの性質に関係します。一つが適切でも、他の条件が満たされるとは限りません。施工前から撤去後までを通して確認します。
許容応力の式では、材料の強さに余裕を見込んで使用できる応力を決めます。ただし、細長い支柱には座屈の検討や水平つなぎも必要です。材料が強いというだけで支保工全体が安定するわけではありません。材料の強度、構造の安定、コンクリートの硬化と養生を別々に整理することが、この問題の理解につながります。