学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問8
問題・正答・学習用解説
問題
鉄筋工事に関する「部位」に対する「形状及び寸法」として、最も不適当なものは、次のうちどれか。ただし、コンクリートの設計基準強度は24N/mm²とする。また、設計図書には特記がないものとし、図に記載のない鉄筋は適切に配筋されているものとする。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢1です。スパイラル筋の重ね継手は以上、かつ300mm以上が必要です。D10なのでを用い、次のように計算します。
図の400mmは300mmを超えていますが、500mmには足りないため不適当です。二つの下限のうち、厳しいほうを満たす必要があります。
スパイラル筋は、柱の周囲をらせん状に連続して囲む鉄筋です。途中で継ぐ場合、十分な重なりを設けて、囲む働きが途切れないようにします。本肢の条件を式にすると、必要長さは となります。「かつ」はどちらか一方でよいという意味ではありません。
他の図も、それぞれ異なる基準で判断します。D22の180度フックは曲げ内法と余長を確認し、D13とD10の重ね継手では細い側の径と鉄筋種別・コンクリート強度を使います。基礎梁のかぶりは土に接する条件で読みます。図中の寸法を眺めて似た数字を選ぶのではなく、部位、材料の条件、必要寸法、図の実寸の順に対応させるのが解き方です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:D10のスパイラル筋では50dが500mmとなり、300mm以上の条件と合わせると必要長さは500mm以上です。図の400mmでは100mm不足するので、本肢が不適当です。300mmという絶対値だけを超えていても合格ではありません。dはスパイラル筋自身の呼び径10であり、図に併記された柱主筋D22を使うものでもありません。どの鉄筋の継手を見ているかを確認してから計算します。重ねる長さを確保することで、囲む鉄筋の力を継手の前後へ伝えます。
選択肢2
選択肢2:柱主筋はSD345のD22で、180度フックの曲げ内法直径と余長がいずれも90mmです。本問では両者に以上を確保する条件を当てはめ、 に対して90mmなので適当です。曲げ内法直径は鉄筋の内側で測る曲がりの大きさ、余長は曲げ終わった後の直線部分の長さです。同じ90mmでも測る場所が違います。鉄筋の中心線の径と取り違えず、図中の寸法線がどの部分を示すかを確認します。
選択肢3
選択肢3:図はSD295のD13とD10を350mm重ねています。本問で用いる一般のフックなし重ね継手の表では、のSD295はです。異なる径では細い側のD10を使うため、 となり適当です。ただし、公共建築工事標準仕様書の耐力壁には以上等の別条件があり、構造計算の条件でも必要長さは変わります。350mmを全ての耐力壁へ適用するのでなく、出題条件と採用する仕様をそろえて判断します。
選択肢4
選択肢4:土に接する基礎梁の設計かぶり厚さとして、図の50mmは適当です。かぶりは、最も外側の鉄筋表面からコンクリート表面までの距離です。ここでは外周にあるD10のあばら筋から測り、内側の主筋の中心から測るものではありません。また、下にある厚さ50mmの捨てコンクリートは基礎梁本体のかぶりに加算しません。土や湿気の影響を受ける部位として必要な厚さを、構造体のコンクリート自体で確保することが重要です。
周辺知識
鉄筋の寸法を読むときは、最初に「どの鉄筋の、何の寸法か」を確認します。主筋は柱や梁の長手方向に入る主要な鉄筋、スパイラル筋やあばら筋は周囲を囲む鉄筋です。同じ図にD10、D22などが並んでいても、計算に使うdは対象となる鉄筋に対応します。
重ね継手は、二本の鉄筋が重なった部分で周囲のコンクリートを介して力を伝える仕組みです。そのため、鉄筋の強さだけでなくコンクリートの強度なども必要長さに影響します。フックは端部を曲げて定着を助ける形状ですが、曲がりが急すぎたり余長が短すぎたりしてよいわけではありません。
かぶりは、鉄筋を腐食や火から守り、周囲のコンクリートとの一体性を保つための厚さです。鉄筋径の倍数で決まる継手長さとは別の目的があります。「以上」が二つ並ぶ場合は大きい下限、「以下」が二つ並ぶ場合は小さい上限を採ると整理できます。数式を使う前に、寸法線の起点と終点、適用条件を読み取る習慣を付けましょう。







