学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問5
問題・正答・学習用解説
問題
地盤調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。標準貫入試験のN値は、サンプラーを本打ちで30cm貫入させるために必要だった打撃回数です。本問では30cm入れるのに50回打っているので、N値は50です。30という数字は貫入した長さをcmで表したものであり、N値ではありません。
標準貫入試験は、決められた方法でおもりを落として器具を地盤に打ち込み、土の硬さや締まり具合を調べる試験です。同じ条件で同じ30cmだけ入れるなら、硬く締まった地盤ほど多くの打撃を要する傾向があります。距離を一定にして、そのために必要な回数を比べる仕組みです。
例えば30cmの貫入に10回かかった地盤と50回かかった地盤では、N値はそれぞれ10と50です。どちらも30cm入ったからN値30とするなら、地盤の違いを表せなくなります。また、所定の打撃をしても30cmに達しない場合には、打撃回数と実際の貫入量を所定の方法で記録します。得られた値だけでなく、どの土層で、どの試験条件で測ったかも確認して地盤の評価に用います。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:地表付近の孔壁が崩れるおそれがある場合、ドライブパイプを0.5〜1.5m程度打ち込んで孔口周辺を保護する本肢の方法は適当です。ボーリングは細い孔を掘り、地中の土や地層の状態を調べる作業です。上部が崩れると落ちた土が孔へ入り、調査や器具の操作を妨げます。ドライブパイプは孔の入口付近を支える役割を持ちます。ただし、これだけで深い部分の孔壁もすべて安定するわけではなく、深部の土質や地下水に合わせた保護方法も必要です。
選択肢2
選択肢2:掘削直後の孔内水位は、掘削作業や使用した水などの影響で乱れている場合があります。時間を置いて水位が安定してから測る本肢の対応は適当です。地盤の中の水が孔へ出入りし、周囲との釣合いに近付くまでには時間がかかることがあります。見つけた瞬間の水面高さを、そのまま周囲の地下水位と断定しない考え方です。また、複数の帯水層がある場合などは、孔内水位がどの層の状態を表すかも検討し、測定時刻や状態を記録します。
選択肢3
選択肢3:30cmの本打ち貫入に50回を要したので、N値は50です。「30」は距離の数値であり、「50」は回数です。本肢は、この二つを取り違えているため不適当です。試験の目的は同じ距離を入れる難しさを回数で比べることなので、N値にcmの単位を付けることもありません。予備打ちと本打ちを区別し、N値には本打ちの所定貫入量に要した回数を使います。試験記録を読むときは、回数、累計貫入量、試験深さがそれぞれ別の欄にあることを意識します。
選択肢4
選択肢4:砂質地盤のN値から、相対密度や内部摩擦角を推定する本肢の利用は適当です。相対密度は砂の詰まり方の程度、内部摩擦角は土粒子がずれようとするときの抵抗に関係する指標です。よく締まった砂は一般に貫入しにくいため、N値との関係を評価に使います。ただし、N値がそのまま角度や密度の値になるわけではありません。土の種類、深さや試験条件などを踏まえ、経験的な関係式などによって推定します。測った量と推定した性質を区別しましょう。
周辺知識
地盤調査では、地層の並び、土の性質、地下水の状態を組み合わせて調べます。建物の基礎は地盤へ荷重を伝えるため、硬さだけでなく、沈下しやすさや水の影響も重要です。ボーリングの土質柱状図には、深さごとの土層、N値、採取した試料などの情報が整理されます。
N値は試験で直接得られる指標ですが、それから相対密度や内部摩擦角を推定する際には関係式や判断が入ります。測定値と推定値は同じ確実さではありません。大きな礫に器具が当たるなどして回数が増える場合もあるため、数字だけを見ず、排出された土や地層の状況と照合します。
地下水位も、穴に見えた水面を一度測れば終わりではありません。掘削で乱れた状態が落ち着いたか、どの帯水層の水を見ているかを考えます。孔を安定させ、所定の手順で試験し、測定時の条件を記録することで、後の基礎設計や掘削工事に使える資料になります。調査の数値は、正しく測る手順と一緒に理解することが大切です。