学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問1
問題・正答・学習用解説
問題
鉄筋コンクリート造建築物の施工計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。総合図は、意匠・構造・設備の設計内容を重ね合わせ、相互の取合いを調整するため、コンクリート躯体図の作成に先立って検討します。本肢の「躯体図の作成後」が逆です。設備の孔や仕上げの納まりを調整した結果を、具体的な躯体の施工図へ反映させます。
躯体は柱・梁・床・壁など建物の主要な骨組みです。例えば空調ダクトを通したい位置に梁があると、設備図だけ見れば通せても、構造上はそのまま孔をあけられない場合があります。意匠図の天井高さ、構造図の梁、設備図のダクトを一緒に見て、施工する前に位置や寸法を調整するのが総合図の役割です。
躯体図が固まってから矛盾が見つかると、図面のやり直しや施工の手戻りにつながります。コンクリートを打った後では変更がさらに難しくなります。単に図面を作る順番の暗記ではなく、「関係する工事を先に調整してから、実際につくる寸法を確定する」という流れで理解しましょう。工程表や施工計画書も、この調整を適切な時期に実行するための道具です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:トータルフロートは、工事全体の完了を遅らせずに、その作業を遅らせられる余裕時間です。その余裕が最小となるクリティカルパスを重点管理する本肢は適当です。通常の余裕のない計画では、この経路上の作業が一日遅れると全体も一日遅れる可能性があります。並行する別の作業に余裕があっても、必要な前工程が終わらなければ次へ進めません。作業単体の長さだけでなく、始まりから終わりまでのつながりの中で、どこが完成日を左右するかを確認します。
選択肢2
選択肢2:総合施工計画書は、工事全体をどう進めるか、どの品質を目指し、何を重点管理するかをまとめる基本計画です。本肢の着工前に作成する対応は適当です。総合仮設には現場事務所、搬入動線、揚重計画など工事全体で用いる仮の施設や仕組みが関係します。個別工事の詳しい作業手順を後から決める場合でも、その前に全体方針を共有する必要があります。職種ごとに都合のよい施工を別々に計画すると、作業場所や重機の取り合いなどで支障が生じるためです。
選択肢3
選択肢3:総合図で分野間の整合を図った後、その結果を躯体図などへ反映するため、本肢の作成順序は不適当です。総合図は単に複数の図面を一枚に写した資料ではなく、関係する位置や寸法を調整するための図面です。例えば排水管の勾配に必要な高さと梁の下端が競合する場合、床や天井、設備ルートを合わせて検討します。施工用の寸法が確定する前に矛盾を解消することで、コンクリートの打込み後に梁へ無理な加工を加えるような手戻りを防げます。
選択肢4
選択肢4:概成工期は、建物を実際に使用することを想定した総合試運転調整を、支障なく行える状態にする期限です。本肢の説明は適当です。例えば空調機が据え付いていても、電源、水、制御設備が使えなければ総合的な試運転はできません。関連する工事も必要な状態まで整うことを確認します。引渡し日そのものとは意味が異なり、試運転で見つかった問題を調整する時間も工程に組み込みます。設備を個別に設置し終えたことと、全体を動かせることを区別します。
周辺知識
施工計画は、作業の順番だけでなく、場所、材料、人、機械、品質確認の時期を組み合わせるものです。鉄筋を組む前に必要な材料を用意し、コンクリートを打つ前に配管の貫通部を調整するなど、先に決めなければ後工程へ進めない事項があります。工程表にはその依存関係を表します。
総合図は空間上の調整、ネットワーク工程表は時間上のつながりの調整に役立ちます。図面で梁とダクトが重なる問題を見つけても、変更の承認や材料手配が遅れれば工程に影響します。逆に工程だけ急いでも、寸法の矛盾が残っていれば現場で作業が止まります。両方を関連させて管理します。
完成直前には、各設備を連携させて動かす総合試運転調整があります。照明、空調、防災、制御などが想定どおり働くかを確かめるため、関連工事を概成工期までに整えます。建物は個々の部品を設置しただけでは使える状態にならないので、調整と検査に必要な時間まで含めて完成までの計画を立てます。