資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問30

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、関係法令上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」に基づき、特定建設資材を用いた建築物に係る解体工事において、当該解体工事に係る部分の床面積の合計が80m²以上の場合は、当該工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の7日前までに、所定の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
  2. (2)
    「都市計画法」に基づき、開発許可の申請に当たって、宅地開発に関する技術に関して2年以上の実務経験を有していない者であっても、開発区域の面積が1ha未満の開発行為に関する設計に係る設計図書を作成することができる。
  3. (3)
    「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」に基づき、土砂災害特別警戒区域内において、予定建築物が自己の居住の用に供する住宅である開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  4. (4)
    「宅地建物取引業法」に基づき、宅地建物取引業者は、建築工事の完了前に新築住宅を販売する際には、その広告、契約及び媒介については、建築基準法第6条第1項の確認等所定の処分があった後でなければしてはならない。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3です。土砂災害特別警戒区域内で許可を要する『特定開発行為』の住宅には、自己の居住の用に供する住宅は含まれません。自分が住む住宅を建てるための本肢の開発を、この制度で必ず許可が必要とした点が誤りです。
土砂災害特別警戒区域は、崖崩れや土石流等によって建物が損壊し、生命や身体に著しい危険が生じるおそれがある区域です。特定開発行為の規制は、分譲住宅など他人が住む住宅や、学校・医療・福祉等の一定の施設を対象に、新たに多くの人や避難に支援を要する人を危険な場所へ呼び込むことを抑え、安全措置を確認する仕組みです。
本肢は予定建物が『自己の居住の用』であり、その住宅の区分の対象から外れます。分譲住宅と自宅を同じ住宅という言葉で一括しないことが要点です。ただし、許可対象外なのはこの特定開発行為の制度についてで、建物の構造に必要な土砂への安全性や、都市計画法の開発許可等の別の規制までなくなるわけではありません。区域の危険が小さいという意味でもありません。法律名、行為の分類、住宅を使う人の条件を組み合わせて判断します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。特定建設資材を用いた建物の解体で、対象となる部分の床面積合計が80m²以上なら、発注者または自主施工者は工事着手7日前までに所定の届出をします。特定建設資材にはコンクリートや木材等があり、混ぜて処分するより、種類ごとに分けることで再利用しやすくなります。80m²ちょうども対象です。届出をする主体は原則として発注者側で、解体業者の営業登録とは別の手続です。いつ・誰が・どの工事を届けるかを分けて覚えます。

選択肢2

(2)適当です。開発許可の設計図書を作成する設計者の資格要件は、開発区域の面積1ha以上の場合に適用されます。1haは10,000m²なので、本肢の1ha未満の開発には、設問の宅地開発に関する実務経験2年以上という要件を一律に求めません。これは経験の少ない人でも安全基準を無視してよいという意味ではなく、特定の設計者資格の対象規模の判定です。建築物の設計に必要な建築士資格とは別に、道路や排水等を伴う宅地開発の設計者の要件を扱っています。

選択肢3

(3)誤りです。自分が住むための住宅の開発は、土砂災害防止法の特定開発行為の住宅の範囲から除かれます。分譲して他人が住む住宅や一定の学校・医療・福祉施設などと、自己居住用の住宅を区別します。したがって『自己の居住の用』とある本肢に、この特定開発行為の許可を必須とすることはできません。危険な土砂に耐えるための建物の構造規制等は別にあり、自宅なら土砂災害への対策を考えなくてよいという結論にはなりません。

選択肢4

(4)適当です。建築工事が終わる前の新築住宅を販売する場合、広告や売買契約・その媒介は、建築確認等の所定の処分があった後でなければ行えません。計画が法的に実現できるかも決まらない段階で売り出すと、購入者が建てられない住宅の契約をしてしまうおそれがあるためです。完成前の販売が全て禁止されるのではなく、確認等を得た後であれば可能です。図面や模型ができたというだけでは足りず、必要な法的手続が済んだことが時期の条件になります。

周辺知識

建築の周辺法令では、同じ住宅や土地を扱っても、何を守る制度かが違います。建設リサイクル法は解体資材の分別と再利用、都市計画法の開発設計者要件は土地や道路・排水等の安全な設計、土砂災害防止法は危険な区域への開発等の管理、宅地建物取引業法は購入者が不確かな取引に巻き込まれないことに関係します。
特に許可不要という結論は、その法律のその手続に限った判断です。土砂災害特別警戒区域で自己居住用住宅の特定開発行為許可が不要でも、建築物の安全な構造や、別法令の許可は確認します。対象から外れる理由を『危険がないから』と説明せず、法律が管理する行為の範囲が異なるからと理解することが大切です。
数値も役割が違います。80m²は解体工事の対象部分、1haは開発区域、7日前は届出から工事までの時間です。契約前の広告規制は、日数ではなく建築確認等の処分という出来事を境にします。問題文を読むときに、面積・期間・行為の主体・予定建物を使う人をそれぞれ取り出すと、よく似た手続の中でも条件を正確に当てはめられます。