学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問1
問題・正答・学習用解説
問題
環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)です。グレアは、視野内の光が強すぎたり明暗の差が大きすぎたりして、まぶしさや見えにくさを生じる状態です。光源の輝度だけでなく、その周囲の輝度、見える大きさ、視線からの位置などにも影響されます。「周囲の輝度から影響を受けない」という本肢は不適当です。
例えば、同じスマートフォンの画面でも、明るい昼の室内では気にならず、暗い寝室ではまぶしく感じることがあります。画面自体の設定が同じでも、目が順応している周囲の明るさと、画面との差が変わるためです。暗い背景に高輝度の光源がある状況では、まぶしさが強くなりやすくなります。
また、まぶしさには、不快に感じることと、光が目の中で散乱するなどして対象を見分けにくくすることがあります。照明器具を明るくすれば机上の照度は増えても、器具が直接目に入って見づらくなる場合があります。必要な照度を確保すると同時に、光源の位置や遮光、周囲との明るさの釣合いを整えることが、よい視環境につながります。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。絶対湿度は空気中の水蒸気量を表す量です。それを変えずに空気を冷やすと、飽和状態で含み得る水蒸気量が小さくなり、相対湿度が上がります。100%に達する温度が露点です。それより冷やすと水蒸気の一部が凝縮して水になります。冷たい窓やコップに水滴が付くのは、近くの空気が露点まで冷やされたためです。水蒸気を加えなくても、温度を下げるだけで結露に達することが分かります。
選択肢2
(2)不適当です。グレアは周囲の明るさにも影響されます。同じ高輝度の光源でも、背景が暗いほど明暗の差が大きくなり、まぶしく感じやすくなります。光源の輝度を下げるほか、直接目へ入りにくい配置や遮光、周囲の適切な明るさの確保などで対策します。ただし周囲を無制限に明るくすればよいわけではありません。対象を見るための照度、エネルギー、快適さを合わせて整えます。
選択肢3
(3)適当です。見付面積は、風が当たる方向から見た建物の投影面積です。これが大きいと風を多くせき止め、側面や屋上の縁で流れが壁面から離れる剥離の領域も大きくなりやすくなります。建物の角で流れが加速したり、背後に渦ができたりすることがビル風に関わります。ただし、実際の地上風は高さ、形状、周囲の建物、風向でも変わるため、見付面積だけで全てを決められるわけではありません。
選択肢4
(4)適当です。カクテルパーティ効果は、多数の会話や騒音がある中でも、聞きたい相手の声などへ注意を向けて選択的に聞き取る性質です。音源の方向や声の特徴などが手掛かりになります。物理的に他の音が消えるわけではなく、聞き分ける側の処理に関わる現象です。ただし、騒音が非常に強ければ会話を聞けなくなることもあるため、この効果を理由に室内騒音対策が不要になるわけではありません。
周辺知識
建築環境では、測定できる物理量と人の感じ方を分けて考えることが重要です。輝度は光の量に関係する数値ですが、まぶしさは背景や視線、目の順応にも左右されます。音圧レベルを測っても、聞きたい声を選ぶ注意の働きまで、その一つの数値で表せるわけではありません。
順応は、目が周囲の明るさに合わせて感度を調節する働きです。明るい屋外から暗い室へ入った直後は見えにくくても、時間がたつと見えてくることがあります。照明計画では室内だけでなく、明るい場所から暗い場所への移動も考えます。
一方、露点は温度と水蒸気量、ビル風は空気の流れと建物形状の関係です。現象ごとに原因を分けると、対策も具体的になります。結露なら冷たい面と湿気、グレアなら光源と背景、ビル風なら風の進路、騒音なら音源と伝わる経路を確認します。用語の短い定義を覚えるだけでなく、身近な場面で何を変えると現象が変わるかを説明できるようにしましょう。