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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

内外装工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    タイルカーペット全面接着工法における接着剤については、粘着はく離(ピールアップ)形とした。
  2. (2)
    断熱材現場発泡工法における断熱材の吹付け厚さを確認する確認ピンの本数は、スラブ下面及び壁面については5m²につき1箇所以上、柱及び梁については1面につき各1箇所以上とし、確認ピンはそのまま存置した。
  3. (3)
    複層仕上塗材仕上げにおいて、主材の塗付けについては、仕上げの形状が凹凸状の部分を吹付けとし、仕上げの形状がゆず肌状の部分をローラー塗りとした。
  4. (4)
    外壁に使用する押出成形セメント板(ECP)のパネル相互の目地幅については、特記がなかったので、長辺及び短辺ともに10mmとした。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢4です。外壁の押出成形セメント板ECPの目地幅は、本問の特記のない条件では長辺8mm以上、短辺15mm以上を確保します。両方10mmとすると長辺側は満たしますが、短辺側が5mm不足します。長辺と短辺を分けて判定します。
ECPは細長い板状の部材で、温度変化や建物の層間変位に対応できるよう、取付け部と目地を計画します。長手方向の端に当たる短辺の目地を狭くしすぎると、パネル同士が接触したり、シーリングへ過大な変形を与えたりするおそれがあります。隙間は施工ミスで残るものではなく、部材の動きや施工誤差を受け止めるための設計された部分です。
他の肢は、取替えやすいタイルカーペットの接着剤、断熱材の厚さの確認、塗り模様をつくる方法を述べています。材料を付けるだけでなく、将来の交換、必要な性能、仕上げ形状に合う施工を選ぶことが必要です。ECPの数値も、別製品や改定後の仕様を一律に当てず、問題で指定された条件に従って確認します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:タイルカーペットの全面接着工法にピールアップ形接着剤を用いる本肢は適当です。ピールアップは、必要なときに剥がして張り替えやすい粘着方式です。通常使用ではずれを抑え、汚れた一枚の交換や床下点検の際には取り外しやすくします。全面接着は塗布範囲の考え方であり、永久に剥がせない強固な接着剤を使うという意味ではありません。床下地と接着剤の適合、所定の塗布量や乾燥条件を守り、固定と取替えのしやすさを両立させます。

選択肢2

選択肢2:現場発泡断熱材の厚さを、スラブ下面・壁面は5m²につき1か所以上、柱・梁は1面ごとに各1か所以上の確認ピンで調べ、そのまま存置する本肢は適当です。吹付け表面が均一に見えても、下地の凹凸によって実際の厚さが足りない部分があり得ます。ピンは所定の厚さを確かめるための目安です。断熱性能は材料の種類と厚さの両方に関係するため、吹き付けた面積だけを確認して終えず、部位ごとに必要な厚さが確保されたかを調べます。

選択肢3

選択肢3:複層仕上塗材の主材で、凹凸状を吹付け、ゆず肌状をローラー塗りとする本肢の組合せは適当です。複層仕上塗材は、下塗り、主材、上塗りなど複数の層で構成し、主材で模様をつくります。ゆず肌は果皮のような細かな凹凸の形です。材料の配合だけでなく、器具、塗布量、動かし方が仕上げの形状に影響します。主材で模様をつくる工程と、色や保護性能を与える上塗りの工程を区別し、見本や所定の施工方法に合わせます。

選択肢4

選択肢4:ECPの長辺・短辺とも10mmとする点のうち、短辺の目地幅が不適当です。長辺8mm以上に対して10mmは満たしますが、短辺15mm以上に対して10mmは不足します。短辺は細長いパネルの端に当たる辺で、隣の部材との相対的な動きを受け止める隙間が必要です。目地を狭くして見た目をそろえることを優先すると、パネルの接触やシーリングの損傷につながります。部材の向きと、どちらの辺の寸法かを確認して施工します。

周辺知識

内外装の施工方法は、完成直後の見た目に加えて、使用中の性能や維持管理に関係します。タイルカーペットは一枚ずつ取り替えられる利点を生かし、断熱材は必要な厚さで熱の流れを抑え、外壁パネルは建物の動きに対応する納まりをつくります。
断熱材の厚さが不足すると、その部分から熱が通りやすくなります。材料名が設計どおりでも、厚さや施工の連続性が不足すれば期待する性能は得られません。確認ピンの数量を部位ごとに定めるのは、広い平面だけでなく柱や梁の各面も確認するためです。
パネルの目地は、水を止めるシーリングを入れる場所であるとともに、動きの余地です。長辺と短辺の目地に違う寸法を設定するのは、パネル形状と動き方が同じではないためです。材料を固定する、必要な厚さを保つ、部材間の動きを許すというそれぞれの目的を理解すると、数字や工法の名前を用途に結び付けられます。