学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅳ(構造) 問22
問題・正答・学習用解説
問題
「壁式鉄筋コンクリート造」及び「壁式ラーメン鉄筋コンクリート造」の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
壁式鉄筋コンクリート構造は、主に壁と床の面を組み合わせて建物を支える構造です。柱と梁の線で組む通常のラーメンとは、力を受ける部材の形や配置の考え方が違います。一方、壁式ラーメン鉄筋コンクリート構造は、一方向に扁平な壁柱と梁によるラーメンを用い、直交する方向の連層耐力壁などと組み合わせる構造です。
(3)は適用できる高さの一般的な大小が逆です。通常の壁式RCは壁量や壁配置などの条件を定めた比較的低・中層向けの構造で、壁式ラーメンRCの方がより高さのある建築物に適用できます。「壁で囲めば硬いので、通常の壁式の方がどこまでも高くできる」という関係ではありません。高さが増せば、下部へ集まる重さや地震時の曲げ、変形能力に対する要求が変わり、その構造形式に対応した設計の仕組みが必要です。
他の肢は、壁と同じ厚さの壁梁が使えること、直交する壁が断面の曲がりにくさに寄与すること、壁式ラーメンで指定方向の連層耐力壁を確保することを述べています。名称が似ていても、同じ壁式の仕様をそのまま入れ替えることはできません。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)壁梁は、壁の開口部の上などで左右の壁をつなぐ梁状の部分です。通常の柱梁ラーメンにある太い梁の幅を必ず採るわけではなく、必要な構造条件を満たせば、接する耐力壁と同じ厚さにすることができます。壁面が同じ厚さでつながる構成をイメージすると理解できます。ただし、幅が同じでよいことと、せい・配筋・せん断耐力などを確認しなくてよいことは別です。
選択肢2
(2)直交壁は、対象の耐力壁に直角に取り付く壁です。一体となって力を受けられる場合、断面がT字やL字に広がったように働き、曲げに対する剛性を増す効果を評価できます。したがって直交壁の効果を考慮できる記述は適切です。どこまでも長い直交壁の全長を無条件に有効とするのではなく、力が伝わる範囲などに基づいた有効な部分を用います。接続していることも重要な前提です。
選択肢3
(3)一般的な適用高さは、壁式ラーメンRCの方が通常の壁式RCより高くできます。両者は壁の呼び方が少し違うだけでなく、力を受ける部材の組合せや設計上の条件が違います。通常の壁式構造の壁を増やすだけで、壁式ラーメンと同じ高い建物へそのまま適用できるとはいえません。特殊な構造計算や認定等を含む個別計画の可能性と、問題の一般的な構造形式の比較は区別します。
選択肢4
(4)壁式ラーメンRCでは、張り間方向の外壁となる構面に、最下階から最上階までつながる連層耐力壁を設けます。構面は柱・梁・壁などが並ぶ一つの鉛直面、連層は複数階に連続することです。横方向の力を途中で途切れさせず下まで伝えるための重要な構成です。ある階の壁を取り去ると、その上の壁の力を別の部材へ急に渡す必要が生じるので、同じ構造条件とは扱えません。
周辺知識
壁の効果は、その枚数だけでなく配置と連続性で変わります。床は水平方向の力を各壁へ渡す板として働き、壁はその力を下階・基礎へ伝えます。途中の階で壁がなくなると、力を梁などへ迂回させる必要があります。また片側にだけ壁が集まると、建物が横へ動くだけでなく、平面内でねじれやすくなります。
直交壁の効果は、断面の形で考えられます。一枚の薄い板に直角の板を付け、T字形にすると、曲がる向きによって抵抗しやすさが変わります。ただし実際の建物では床や壁の接合、開口、ひび割れなどがあるので、形だけから全部の面積が一様に働くとは決められません。
構造形式の名称は、設計で想定する働きと適用条件をまとめたものです。「壁式RC」「壁式ラーメンRC」「通常のRCラーメン」を分け、どの方向で何が水平力を受け、どの部材が鉛直荷重を受けるかを描いて整理すると、適用高さや必要な壁配置を意味とともに覚えられます。