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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅳ(構造) 問9

問題・正答・学習用解説

問題

木造軸組工法による地上2階建ての建築物において、建築基準法に基づく「木造建築物の軸組の設置の基準」(いわゆる四分割法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    各階について、張り間方向及び桁行方向の偏心率が0.3以下であることを確認した場合は、「木造建築物の軸組の設置の基準」によらなくてもよい。
  2. (2)
    図-1に示す平面形状の場合、張り間方向及び桁行方向それぞれの計算に用いる側端部分は、建築物の両側(最外縁)より14\displaystyle \frac{1}{4}の部分(■\displaystyle \color{gray}{\blacksquare})である。
  3. (3)
    図-2のような建築物の1階側端部分のうちAの部分は、平家建てとして必要壁量を算定する。
  4. (4)
    各側端部分の壁量充足率が全て1を超えていても、壁率比は0.5以上でなければならない。
問9の図1

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

各側端部分の壁量充足率が全て1を超えている場合にも、必ず壁率比0.5以上を要求するという記述が誤りです。四分割法では、対になる側端部分の両方が必要壁量を満たす場合には、その組の壁率比による確認を省ける扱いがあります。
壁量充足率は存在壁量を必要壁量で割った比で、1以上ならその領域の必要量を満たします。壁率比は、両端の充足率の小さい方を大きい方で割った比です。例えば充足率が1.2と3.0なら壁率比は1.23.0=0.4\displaystyle \frac{1.2}{3.0}=0.4ですが、両側とも必要量を満たしているので、この条件で直ちに不適合とはなりません。一方に大きな余裕があることで比が小さくなった場合を、常に壁の不足と同じように扱わない仕組みです。
ただし建物全体の壁量や各方向の条件まで不要になるわけではありません。図-1のように外形が不整形なら、最外縁から全長の4分の1の帯を取り、その中の実際の床面積と壁量を計算します。図-2のAは上に2階がない側端部分なので、局所の必要壁量算定では平家として扱います。壁量、配置、上階の有無を、それぞれの検討範囲に対応させます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)各階の両方向で偏心率0.3以下を確認する方法は、四分割法の代わりに壁配置の釣合いを確かめる所定の方法です。偏心率は、重さの中心と水平抵抗の中心がどれだけずれているかを、ねじれへの抵抗も含めて表します。従って記述は適切です。偏心率の確認だけで全体の必要壁量や接合部等を省略できるわけではありません。配置の評価方法として選べることと、木造全体の構造確認が不要になることは別です。

選択肢2

(2)図-1では建物の最外縁から、全長を4等分した両端の領域を側端部分にします。張り間方向を確認する左図は左右の縦帯、桁行方向を確認する右図は上下の横帯で示され、記述は適切です。外形の欠けがあるから帯の幅を途中で変えるのではなく、最外縁間の全長から4分の1を決めます。その上で帯の中に実際にある床面積を使い、対象方向へ抵抗する壁だけを数えます。帯の向きと壁の向きを図に対応させます。

選択肢3

(3)図-2のAは1階の側端部分ですが、その上には2階の床や壁がありません。この局所の必要壁量を求める際、平家の部分として扱う記述は適切です。建物全体が2階建てでも、側端部分で負担する上部の荷重条件が異なるためです。ただし1階全体の必要壁量の算定まで、任意にAを切り離して全て平家扱いにする意味ではありません。四分割法の側端部分という対象範囲で、上階がどこにあるかを図から判断します。

選択肢4

(4)各側端部分が全て必要壁量を超えるなら、両側の充足率がともに1以上となるため、必ず壁率比0.5以上を満たす必要はありません。記述はこの例外条件を落としています。例えば1.2と3.0の比は0.4でも、少ない側にも必要量以上の壁があります。逆に充足率が1未満の側を含む場合は、所定の壁率比による確認が必要です。比だけを計算して判断せず、先に各側が必要量を満たすかという条件を確認する手順が大切です。

周辺知識

壁量計算は、その階の各方向に地震や風へ抵抗する壁がどれだけ必要かを調べます。四分割法は、その壁が片側へ偏りすぎていないかを、両端の領域で簡便に確認する方法です。総量が足りることと配置が適切なことは別の確認です。
存在壁量は壁長さ×壁倍率\displaystyle \text{壁長さ}\times\text{壁倍率}を合計し、必要壁量は対象床面積と所定の量から求めます。その比が壁量充足率です。さらに両端の充足率を比べるのが壁率比で、単なる実長の比ではありません。不整形な平面では側端の床面積が違うため、同じ壁長さでも充足率が異なります。
両側とも必要量を満たす条件と、壁率比を用いる条件を順に整理すると、比が小さいというだけで誤判定することを避けられます。偏心率による評価を使う場合も、計算の前提と適用範囲を確認します。最後に床や接合部がその壁へ力を伝え、柱脚から基礎へ力がつながることを確かめる必要があります。壁の位置だけで耐震性能が完結するわけではありません。