学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅳ(構造) 問6
問題・正答・学習用解説
問題
図のようなラーメンA、ラーメンB及びラーメンCの柱の弾性座屈荷重をそれぞれ、及びとしたとき、これらの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、全ての柱及び梁は等質等断面の弾性部材であり、「柱及び梁の重量」及び「柱の面外方向の座屈及び梁の座屈」については無視するものとする。
選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
柱脚の固定で拘束が強いCが最も高く、柱脚がピンのAとBでは、梁が短く柱頭の回転を強く抑えるAが高くなります。従っての(4)が正解です。三つの柱の高さは全てh、AとCの梁長さはl、Bはです。
柱の弾性座屈荷重は、支え方を座屈長さへ置き換えるとで表します。同じ柱なら、曲がりや回転を強く拘束するほど有効な座屈長さが短くなり、座屈荷重は高くなります。ただし本問の柱頭は弾性の梁に接続しているので、完全固定や完全ピンの決め打ちではなく、梁の回転拘束の大小を比較します。
AとBは柱脚条件が同じです。梁の曲げによる回転拘束の剛性は長さに反比例するため、同じEIで長さlのAの梁は、長さのBより柱頭の回転を抑えます。よってです。CはAと梁長さが同じで、さらに柱脚の回転も固定するためとなります。
荷重が左右の柱に等しく作用していることは、三つの架構の座屈荷重が等しいことを意味しません。柱単独の寸法だけでなく、それを拘束する梁と柱脚を含めた骨組の安定性を比較する問題です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)CとAの梁長さは同じですが、Aの柱脚はピン、Cは固定です。Cでは柱脚の回転が抑えられるため、同じ柱頭の梁条件なら、Aより横へ曲がる座屈に抵抗できます。従ってとはならず、です。柱脚の固定は、鉛直荷重を支えるだけでなく、座屈時に生じる端の回転へ抵抗する条件です。柱の材質・断面・高さが同じであることだけを見て、端部拘束の違いを落とさないようにします。
選択肢2
(2)Bを最大、Cを最小とした順序は逆です。Bは長い梁により柱頭の回転拘束が弱く、柱脚もピンなので三つの中で最も座屈しやすくなります。Cは梁が短く、さらに柱脚を固定しているため最も大きな座屈荷重を持ちます。梁が長いことは柱間の距離が広いというだけでなく、接合部の回転を抑える梁の硬さを小さくします。座屈が柱だけの現象に見えても、梁の長さと支持条件が結果へ影響します。
選択肢3
(3)Cが最大という点は正しいですが、AとBは等しくありません。柱は同じでも、Bの梁長さはAの2倍で、梁の回転に対する剛性は小さくなります。そのためBの柱頭は回転しやすく、Aより座屈荷重が低くなります。梁がどちらも剛体なら長さによるこの差を無視する別のモデルになりますが、本問は柱・梁とも弾性部材と指定しています。前の問題の剛体梁の条件を引き継がず、各問題の材料・剛性条件を読む必要があります。
選択肢4
(4)AとBでは柱脚が同じピンなので、短く回転を抑えやすい梁を持つAがBより高い座屈荷重です。CとAでは梁長さが同じで、柱脚まで固定するCがさらに高くなります。二段階で比較してとなり、条件に一致します。実際の比を求めるには骨組の座屈解析等が必要ですが、この問題は大小なので拘束条件の比較で判定できます。梁の剛性が2倍ということを、柱の座屈荷重が必ず2倍になることへ置き換える必要はありません。
周辺知識
細長い圧縮材は、材料の圧縮強度へ達する前に横へ曲がる座屈で耐力が決まる場合があります。座屈荷重は柱の曲げ剛性だけでなく、端の回転と横移動がどれだけ拘束されるかに依存します。骨組の柱頭は梁につながっているため、その梁が回転を抑える程度も条件の一部です。
弾性梁の端を回転させるために必要なモーメントは、代表的にに比例する剛性で評価します。長い梁ほど回転しやすく、短い梁ほど柱頭を強く拘束します。これは中央荷重によるたわみの剛性とは別の量なので、長さの指数を混同しないようにします。
支点がピンなら回転は許しますが、固定なら回転も抑えます。また横移動できる骨組か、筋かい等で横移動を止めた骨組かでも座屈の形が変わります。本問では面外座屈と梁の座屈を除き、面内の柱の座屈を比較します。除外された現象を持ち込まず、残る条件のうち一つだけ違う二つを順番に比較すると、大小関係を確実に整理できます。