学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問30
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、関係法令上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4です。令和2年度に適用される旧宅地造成等規制法の基準では、盛土で高さ1mを『超える』崖を生じる場合や、所定の土地の面積が500m²を『超える』場合などが許可の対象となります。本問は高さ1m、面積500m²ちょうどで、どちらも境目を超えていません。したがって、記述された盛土工事について原則として許可が必要とした点が誤りです。
盛土とは、土を運び入れて地盤を高くすることです。盛った土は、締め固め方や排水が不適切だと滑ったり崩れたりするため、危険を生じる規模の宅地造成を行政の許可で管理します。崖とは、ここでは法令が定める傾斜などの条件に該当する地形で、単に高低差があれば何でも同じ扱いになるわけではありません。
数値を比べると、1mは1mを超えず、500m²も500m²を超えません。これを『1m以上』『500m²以上』に読み替えると結論が変わってしまいます。なお、これは出題時点の旧法で、盛土のみという本問の条件を判断した結果です。切土を組み合わせた造成や、後年の盛土規制法に基づく区域・手続まで同じ結論になる、と広げて覚えてはいけません。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。設計住宅性能評価書は、住宅の設計がどの程度の耐震性や断熱性などを持つか、共通の物差しで評価した書類です。その写しを請負契約書に添付すると、原則として記載された性能の住宅を建てることが契約内容とみなされます。例えば評価書に表示された性能を、工事を請け負う側が単なる参考資料として無視することはできません。施主が専門知識を持たなくても、図面の細部だけに頼らず、約束された住宅の性能を確認できるようにする仕組みです。
選択肢2
(2)適当です。令和2年度の省エネ制度では、特定建築物以外で300m²以上の建物の新築等について、省エネ計画を行政へ届け出る制度がありました。その際、登録された判定機関による所定の性能評価結果を記した書面を併せて提出できます。行政が確認する内容の一部を、専門機関の評価によって示す仕組みです。当時の義務対象と届出対象を区別して読む必要があります。後年に省エネ基準への適合義務が拡大したことを、そのまま令和2年度の問題へ当てはめないようにします。
選択肢3
(3)適当です。中古建物の購入者は、建物の傷みや過去の記録を自分だけで判断することが難しいため、契約前に所定の情報の説明を受けます。宅地建物取引士は、実施されている建物状況調査の結果の概要や、建築・維持保全に関する書類が保存されているかなどを、書面等により説明します。ここで義務となるのは所定の情報を伝えることであり、本肢から『売買する全ての建物に必ず新たな調査を実施しなければならない』とは読み取れません。調査の実施と結果の説明は別の事項です。
選択肢4
(4)誤りです。旧法の盛土に関する境目は、高さ1mを超える崖や、面積500m²を超える造成などです。本問の1mと500m²は、いずれもちょうど境目なので、この条件による許可対象には入りません。例えば他の条件が同じで崖の高さが1.2mなら、高さの条件に該当します。面積も500m²と501m²では『超える』かどうかが異なります。ただし、許可対象外という結論は土の崩れ対策が不要という意味ではなく、ここでは旧法の許可手続の対象範囲を判定しています。
周辺知識
住宅や土地を扱う法律には、事故を防ぐ制度と、専門知識の少ない人が安心して契約できるようにする制度があります。宅地造成の許可は地盤の崩壊などを防ぐ側面が強く、住宅性能評価書の契約上の扱いや中古建物の重要事項説明は、何を買い、何を建ててもらうかを明確にする側面があります。省エネ計画の届出は、建物が使うエネルギーを減らす政策のための手続です。
性能評価と契約の関係では、『性能を測ること』と『その性能を約束すること』を分けて考えると理解しやすくなります。評価書が契約書に添付されることで、評価された内容が当事者間の約束にもつながります。一方、中古住宅の状況調査は、その時点で確認できる劣化等の状態に関する情報です。調査の説明を受けることと、将来の不具合が一切ない保証を得ることは同じではありません。
法規の過去問では年度も条件の一つです。省エネ法や盛土に関する法律は改正によって対象が変わっています。学習時には、本問の年の制度で結論を出し、現在の実務で必要な確認と混同しないようにします。数値は『以上・以下』と『超える・未満』を含めた形で覚え、ちょうど境目の値を代入してみると読み違いを発見できます。