学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅴ(施工) 問8
問題・正答・学習用解説
問題
鉄筋工事におけるガス圧接継手の外観検査の検査項目とその外観形状について、鉄筋の継手の構造方法の規定に照らして、最も不適当なものは、次のうちどれか。ただし、鉄筋の種類はSD345とする。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。ガス圧接部の膨らみの長さは、鉄筋径をとすると以上が必要です。図ではなので、必要長さは次のとおりです。
示された27mmは0.5mm不足するため、不適当となります。
ガス圧接は、鉄筋の端を突き合わせて加熱し、軸方向に押し合わせて一体化する方法です。押された部分には膨らみが生じます。その形が適切であるかを、直径、長さ、圧接面の位置、中心軸のずれなどに分けて調べます。図の数値は全て同じ方向の寸法ではありません。
残る3肢を計算すると、圧接面のずれは以下に対し6mm、膨らみの直径は以上に対し35mm、偏心量は以下に対し4mmで、いずれも適当です。「以上」は下限、「以下」は上限なので、不等号の向きを取り違えず、小数を勝手に丸めないことが解答のポイントです。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:圧接面のずれ6mmは適当です。圧接面とは、もとの二つの鉄筋の端が接合した面です。膨らみの頂部からこの面までの軸方向のずれは以下とし、が上限になります。図の6mmはこれを超えていません。中心軸が上下にずれる偏心量とは、測る場所と方向が違います。どちらも「ずれ」という言葉でまとめず、図の寸法線が圧接面と膨らみの頂部の間を示していることを確かめます。
選択肢2
選択肢2:膨らみの直径35mmは適当です。必要な直径は鉄筋径の1.4倍以上なので、となり、図は下限と一致します。25mmの元の鉄筋より、圧接部が必要な範囲だけ太くなっているかを見る検査です。35mmを超えていないから不足と考えるのは、「以上」を「超える」と読み違えています。ただし直径が足りていても、膨らみの長さや内部の状態が適切とは限らず、他の検査項目も個別に満たす必要があります。
選択肢3
選択肢3:膨らみの長さ27mmが不適当です。必要長さは以上であり、を代入すると27.5mm以上になります。図は0.5mm短いため、整数に丸めて27mmならよいと判断してはいけません。この長さは、膨らんでいる部分を鉄筋の軸方向に測った寸法です。膨らみの直径の基準とは別なので、太さを満たしているから長さも合格とせず、長さ自体を計算して照合します。
選択肢4
選択肢4:鉄筋中心軸の偏心量4mmは適当です。偏心とは、接合した二つの鉄筋の中心線が一直線にならず、横にずれていることです。上限はで、となり、図の4mmは範囲内です。軸がずれると、引張力を一直線に伝えたい継手に曲げの影響が生じやすくなります。圧接面のずれの上限と混同しないよう、偏心は二本の中心線の間隔を測る項目だと、図の破線に着目して理解します。
周辺知識
鉄筋の継手は、短い鉄筋をつないで必要な長さの骨組をつくる部分です。継手で力を十分に伝えられないと、鉄筋本体が強くてもそこで性能が途切れます。ガス圧接のほか、重ね継手、機械式継手、溶接継手などがあり、施工方法と確認項目はそれぞれ異なります。
外観検査は、見える形状や寸法から不適切な施工の兆候を調べるものです。加熱や加圧の状態は膨らみの形にも表れますが、外観が整っているだけで内部に欠陥がないと断定はできません。必要な超音波探傷検査などと組み合わせ、所定の検査計画に従って品質を確認します。
基準がの倍数で示されるのは、鉄筋が太くなれば継手に必要な寸法や許容されるずれも変わるためです。まず鉄筋径を読み、各式を計算し、実測値と比較します。下限の項目は不足、上限の項目は超過が不合格です。図を読むこと、計算すること、不等号を判定することの三段階に分けると、似た数値の問題にも対応できます。



