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理論

電験三種 令和7年度下期 理論 問18(a)

問題・正答・学習用解説

問題

NAND ICを用いたパルス回路について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,高電位を「1」,低電位を「0」と表すことにする。(a) pチャネル及びnチャネルMOS FETを用いて構成された図1の回路と真理値表が同一となるものを,図2のNAND回路の接続(イ),(ロ),(ハ)から選び,全て列挙したものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。問18(a)の図1

選択肢

  1. (1)
    (イ)
  2. (2)
    (ロ)
  3. (3)
    (ハ)
  4. (4)
    (イ),(ロ)
  5. (5)
    (イ),(ハ)

正答と解説

正答:(5)

正答の考え方

正解は(5)です。図1は p チャネルと n チャネル MOS FET を組み合わせた CMOS インバータ(NOT 回路)で、入力 A に対して出力は反転 NOT A になります(A=0→\displaystyle A=0\to出力1、A=1→\displaystyle A=1\to出力0)。図2の各 NAND 接続の出力を調べます。(イ) 2入力をともに A につなぐと、NAND(A,A)=NOT(A⋅A)=NOTA\displaystyle A)=NOT(A\cdot A)=NOT A となり、インバータと一致します。(ロ) 一方の入力を「0」に固定すると、NAND(A,0)=NOT(A⋅0)=NOT(0)=1\displaystyle 0)=NOT(A\cdot 0)=NOT(0)=1 で、入力 A によらず常に「1」となり、インバータとは一致しません。(ハ) 一方の入力を「1」に固定すると、NAND(A,1)=NOT(A⋅1)=NOTA\displaystyle 1)=NOT(A\cdot 1)=NOT A となり、インバータと一致します。したがって、インバータ(図1)と同一の真理値表になるのは (イ) と (ハ) であり、それらを全て列挙した(5)が正解です。

各選択肢の解説

選択肢1

(イ)だけでは不十分で誤りです。(ハ) も NAND(A,1)=NOTA\displaystyle 1)=NOT A でインバータと一致するため、全て列挙すると (イ) と (ハ) になります。(ハ) を見落としています。

選択肢2

(ロ)は誤りです。NAND(A,0)=NOT(A⋅0)=NOT0=1\displaystyle 0)=NOT(A\cdot 0)=NOT 0=1 となり、入力によらず出力が常に「1」でインバータと一致しません。

選択肢3

(ハ)だけでは不十分で誤りです。(イ) の NAND(A,A)=NOTA\displaystyle A)=NOT A もインバータと一致するため、全て列挙すると (イ) と (ハ) になります。(イ) を見落としています。

選択肢4

(イ),(ロ)の組合せは誤りです。(イ) は一致しますが、(ロ) は出力が常に「1」となりインバータと一致しません。正しい組合せは (イ),(ハ) です。

周辺知識

NAND ゲートは『万能ゲート』と呼ばれ、NAND だけで NOT・AND・OR などあらゆる論理を構成できます。インバータ(NOT)を NAND で作る代表的方法が2つあり、(1) 2入力を短絡して同じ信号を入れる NAND(A,A)=NOTA\displaystyle A)=NOT A、(2) 一方を論理「1」に固定する NAND(A,1)=NOTA\displaystyle 1)=NOT A です。逆に一方を「0」に固定すると NAND(A,0)=常に1となり、これは NOT ではなく定数出力になる点が引っかけです。判定にはド・モルガンの定理 NOT(A⋅B)=NOTA+NOTB\displaystyle NOT(A\cdot B)=NOT A+NOT B や真理値表を使うと確実です。CMOS インバータは、p チャネルと n チャネル MOSFET を直列にし、入力を両ゲートに共通入力する構造で、入力が高ければ n 側 ON・p 側 OFF で出力低、入力が低ければ逆で出力高となり、定常時に貫通電流が流れず低消費電力なのが特徴です。NAND の2入力に同じ信号や固定値を与えたときの振る舞いを整理しておくと、この種の等価回路問題に強くなります。