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電力

電験三種 令和7年度下期 電力 問7

問題・正答・学習用解説

問題

6.6 kV非接地方式配電線及び高圧受電設備の保護に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

選択肢

  1. (1)
    高圧受電設備における地絡保護装置は,零相変流器により零相電流を検出して動作させる地絡過電流継電器や,接地用変圧器により零相電圧を検出して零相電流と零相電圧を組み合わせて動作させる地絡方向継電器が用いられる。
  2. (2)
    配電線の保護方式として,故障遮断による供給支障を極力少なくする目的で,故障遮断後に電源側から健全な区間を選別して再送電する時限順送式故障区間分離方式がある。
  3. (3)
    高圧受電設備における地絡保護装置において,地絡過電流継電器は無方向性のため,構内の高圧ケーブルのこう長が短い場合は外部事故時に大きな零相電流が流れて不要動作することがある。
  4. (4)
    地絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に地絡方向継電器と地絡過電圧継電器を組み合わせて設置される。
  5. (5)
    短絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に過電流継電器が設置される。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は(3)です。非接地方式の高圧配電系統では地絡電流が対地静電容量を通じて流れる充電電流が主体です。地絡過電流継電器(GR,無方向性)を設けた高圧受電設備では,自構内の高圧ケーブルのこう長が長いほど対地静電容量が大きくなり,系統側(外部)で地絡が起きたとき自構内ケーブルの静電容量を介して流れ出す充電電流(零相電流)が大きくなって,もらい事故(不要動作)を起こしやすくなります。すなわち不要動作が問題になるのは『こう長が長い場合』であって,(3)の『こう長が短い場合は…大きな零相電流が流れて不要動作する』という記述は因果が逆であり誤りです。こう長が短ければ静電容量が小さく充電電流も小さいため,むしろ不要動作しにくくなります。

各選択肢の解説

選択肢1

零相変流器(ZCT)で零相電流を検出して動作する地絡過電流継電器(GR),および接地用変圧器で零相電圧を検出し零相電流と組み合わせて方向判別する地絡方向継電器(DGR)の説明はいずれも正しく,誤りではありません。

選択肢2

故障遮断後に電源側から健全区間を順次・時限をずらして再送電し,故障区間だけを分離する時限順送式故障区間分離方式の説明は正しく,供給支障の最小化に有効な実際の方式です。

選択肢4

配電用変電所の各配電線において地絡方向継電器(DGR)と地絡過電圧継電器(OVGR)を組み合わせて地絡保護する構成は標準的で正しい記述です。

選択肢5

短絡事故保護として配電用変電所の各配電線に過電流継電器(OCR)を設置するのは標準的な構成であり正しい記述です。

周辺知識

6.6kV配電系統は中性点を接地しない非接地方式が一般的で,1線地絡時の地絡電流は健全2相の対地静電容量を通る充電電流が支配的になります(数A〜十数A程度と小さい)。無方向性のGR(地絡過電流継電器)は零相変流器(ZCT)で検出した零相電流の大きさだけで動作するため,外部事故時に自構内ケーブルの充電電流で『もらい事故』的に誤動作することがあります。これを防ぐのが地絡方向継電器(DGR)で,零相電流(ZCTで検出)と零相電圧(ZPD/接地形計器用変圧器EVTで検出)の位相関係から,地絡点が自構内か系統側かを判別して内部事故のみで動作します。一般にケーブルこう長が長い(おおむね数百m以上)需要家ではDGRの採用が求められます。配電用変電所側では各フィーダにDGR+OVGR(地絡過電圧継電器)で地絡を,OCR(過電流継電器)で短絡を保護し,故障区間を時限順送式で切り離して健全区間を再送電する方式が用いられます。『こう長が長い→静電容量大→充電電流大→不要動作』の因果を押さえることが本問攻略の鍵です。