電力
電験三種 令和7年度下期 電力 問6
問題・正答・学習用解説
問題
次の文章は,避雷器に関する記述である。避雷器は,雷又は回路の開閉などに起因する過電圧の (ア) がある値を超えた場合,放電により過電圧を抑制して,電気施設の絶縁を保護する装置である。特性要素としては (イ) が広く用いられ,その (ウ) の抵抗特性により,過電圧に伴う電流のみを大地に放電させ,放電後は (エ) を遮断することができる。発変電所用避雷器では, (イ) の優れた電圧-電流特性を利用し,放電耐量が大きく,放電遅れのない (オ) 避雷器が主に使用されている。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は(1)です。避雷器は,雷サージや開閉サージなどによる過電圧の波高値(ピーク値)(ア)が動作開始電圧を超えると放電を開始し,過電圧を制限電圧以下に抑えて機器の絶縁を保護します。特性要素には酸化亜鉛(ZnO)(イ)素子が広く用いられ,その非線形(非直線)(ウ)な電圧−電流特性により,過電圧時には大電流を流して大地へ逃がし,過電圧が去った後の商用周波の続流(エ)を遮断(ほとんど流さない)ことができます。発変電所用避雷器では,ZnOの優れた非直線特性を活かして直列ギャップを不要としたギャップレス(オ)避雷器が主に使用されます。したがってア=波高値,イ=酸化亜鉛,ウ=非線形(非直線),エ=続流,オ=ギャップレスの組合せである(1)が正解です。
各選択肢の解説
選択肢2
(ア)を波頭長とするのは誤りで,避雷器が応動するのは過電圧の波高値(ピーク値)です。また(エ)を制限電圧とするのも誤りで,放電後に遮断すべきは商用周波の続流です。制限電圧は放電中の端子電圧を指す別概念です。
選択肢3
特性要素をとするのは誤りで,正しくは酸化亜鉛(ZnO)です。はガス遮断器の絶縁・消弧媒体であり避雷器の特性要素ではありません。さらに抵抗特性を線形とするのも誤りで,ZnOは強い非線形(非直線)特性を持ちます。
選択肢4
ZnO素子の抵抗特性を線形とするのは誤りで,過電圧時のみ急激に導通する非直線特性が本質です。発変電所用がギャップレス避雷器主流である点と合わせて整合しません。
選択肢5
(ア)を波頭長,特性要素をとする二重の誤りがあります。正しくは波高値・酸化亜鉛であり,発変電所用はギャップレス避雷器が主流です。
周辺知識
避雷器の役割は,系統に侵入する雷・開閉サージの過電圧を機器の絶縁が耐えられるレベル(制限電圧)まで抑え込むことで,絶縁協調の要となる機器です。旧来の炭化けい素(SiC)避雷器はSiCだけでは続流を切れないため直列に放電ギャップを設けていましたが,酸化亜鉛(ZnO)素子は電圧−電流特性の非直線性が極めて強く,常規対地電圧では漏れ電流が数百μA程度とごく僅か,過電圧時には急激に導通して大電流を流すため,ギャップなしでも続流をほぼ流さずに済みます。これがギャップレス避雷器で,部品点数が少なく特性が安定し放電遅れがない利点から発変電所で主流です。性能指標として『制限電圧(放電電流を流したときの端子電圧)は低いほどよい』『公称放電電流(10kA、5kA等)』『定格電圧(続流を確実に遮断できる商用周波電圧)』が重要です。覚え方は『波高値で動作・ZnOの非直線・続流を切る・ギャップレス』の4点セットです。