機械
電験三種 令和7年度下期 機械 問11
問題・正答・学習用解説
問題
図に示すように,電動機が減速機と組み合わされて負荷を駆動している。このときの電動機の回転速度 nm が 1200 min⁻¹,トルク Tm が 100 N·m であった。減速機の減速比が 6,効率が 0.96 のとき,負荷の回転速度 nL [min⁻¹],軸トルク TL [N·m]及び軸入力 PL [kW]の値として,最も近いものを組み合わせたのは次のうちどれか。

選択肢
- (1)
(1)
- (2)
(2)
- (3)
(3)
- (4)
(4)
- (5)
(5)
正答と解説
正答:(5)
正答の考え方
正解は(5)です。減速機は回転速度を減速比 i 分の1にし,理想的にはトルクを i 倍にしますが,効率ηを考慮すると出力(軸入力)が η 倍になります。
[回転速度] 負荷側は nL=inm =61200 =200 min⁻¹。
[電動機出力] 電動機の角速度 ωm=602πnm =602π×1200 ≃125.7 rad/s なので,電動機出力Pm=Tm⋅ωm =100×125.7 ≃12.57kW。
[軸入力] 減速機で損失が出るため負荷へ伝わる動力は PL=η⋅Pm =0.96×12.57 ≃12.1kW。
[軸トルク] 負荷側角速度 ωL=602πnL =602π×200 ≃20.94 rad/s より TL=ωLPL =20.9412100 ≃576N⋅m。これは TL=η⋅i⋅Tm =0.96×6×100 =576N⋅m と一致します。
よって nL=200 min⁻¹,TL=576N⋅m,PL≃12.1kW の組合せである(5)が正解です。 各選択肢の解説
選択肢1
回転速度を nL=nm×6 =7200 min⁻¹ と増速側に取り違えています。減速機なので速度は 61 の 200 min⁻¹ が正しく,これを誤ると軸入力PL も過大になります。 選択肢2
nL=7200 min⁻¹ としている点に加え,TL=16.0N⋅m と減速比で割った値にしている点が誤りです。減速機ではトルクは 61 ではなく約6倍(η込みで576 N·m)に増加します。 選択肢3
nL=7200,TL=16.0,PL=4147 などがいずれも誤りです。速度は減速比で割り(200 min⁻¹),トルクは減速比倍に増え(576 N·m),動力は P=Tω で約12.1 kW となります。 選択肢4
nL=200 min⁻¹ は正しいものの,TL=16.0N⋅m が誤りです。減速機ではトルクが減速比倍(×6)に増えるので TL=η⋅i⋅Tm =576N⋅m であり,61 にした 16.0 ではありません。 周辺知識
回転機械の動力は P=Tω(ω=602πn,n は min⁻¹)で表され,この一本の式で速度・トルク・動力を行き来できます。減速機(歯車)は『速度を下げてトルクを上げる』装置で,損失がなければ入力動力=出力動力なので,速度が i1 になればトルクは i 倍になります(エネルギー保存)。実際には歯車のかみ合いや軸受の摩擦で損失が出るため効率η(普通0.9〜0.98程度)が掛かり,伝わる動力は PL=η⋅Pm,トルクは TL=η⋅i⋅Tm となります。注意したいのは『効率は出力(動力・トルク)に掛かるが,回転速度は減速比だけで決まり効率は関係しない』点で,nL=inm はη不問です。計算の定番ミスは,回転速度を逆に i 倍してしまう(増速と取り違える),トルクを i1 にしてしまう(速度と同じ向きに変えてしまう)こと。『減速機は遅くなる代わりに力持ち(トルク増)』とイメージで固定するとよいです。検算として『P=Tω が入力側・出力側で η 倍の関係になっているか』『PL=TL⋅ωL が成り立つか』を確認すると安心です。なお min⁻¹(rpm)から rad/s への換算 602π≃0.1047 は頻出なので覚えておくと速く解けます。