Ⅰ.設 計 条 件
この課題は、ある地方の町にある、住民に親しまれている公園に隣接した
敷地に、住民交流スペースを有する地方公共団体の庁舎を計画する。
計画に当たっては、特に、次のことが求められている。
⑴ 誰もが使いやすい施設計画
⑵ 夜間、土日祝日におけるセキュリティへの配慮
⑶ 省エネルギー及び二酸化炭素排出量削減への配慮
⑷ 大地震等の自然災害が発生した際の庁舎の機能維持
1.敷 地 及 び 周 辺 条 件
⑴ 敷地の形状、接道条件、周辺状況等は、「敷地図」のとおりである。
⑵ 敷地は平坦で、敷地と、道路の路面の中心、隣地及び道路の反対側の
敷地には、高低差はない。また、歩道の切り開きは、1か所(6mまで)
のみ可能である。
⑶ 敷地及びその周辺は、準住居地域(道路高さ制限及び隣地高さ制限における
斜線勾配はそれぞれ1.25とする。)及び準防火地域に指定されている。ま
た、建蔽率の限度は80%(所定の加算を含む。)、容積率の限度は300%で
ある。
これら以外に、地域、地区等及び特定行政庁による指定、許可等並び
に日影による中高層の建築物の高さの制限はない。
⑷ 電気、ガス及び上下水道は完備している。
⑸ 地盤は良好であり、杭打ちの必要はない。
⑹ 気候は温暖であり、積雪について特別の配慮はしなくてよい。また、
水害の危険がない地域である。
2.建 築 物
⑴ 構造種別は自由とし、地上3階建ての耐火建築物とする。
⑵ 大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造
とする。(耐震構造、免震構造、制振構造等から選択し、適切に計画する。)
⑶ 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する
「建築物移動等円滑化基準」を満たすものとする。ただし、主たる階段
は、幅1,400mm以上、蹴上げ160mm以下、踏面300mm以上とする。
⑷ 要求室等は、右表のとおりである。
3.そ の 他 の 施 設 等
⑴ 駐車場は、次のとおり計画する。
① 車椅子使用者用として1台分、サービス用として1台分のスペース
を設ける。なお、建築物内に設けてもよい。
② 来庁者用、公用車用及び職員用の駐車場は、敷地周辺にある公共
駐車場を利用する。
⑵ 駐輪場は、公共駐車場に併設された駐輪場を利用する。
4.留 意 事 項
⑴ 構造計画については、次の点に留意する。
① 基礎構造については、地盤条件や経済性を踏まえ適切に計画する。
② 耐震性や経済性に配慮し、架構を計画する。
⑵ 設備機器等の搬出入、更新及びメンテナンスに配慮する。
⑶ 延焼ライン(建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の位置)を記入す
る。必要に応じて、延焼ライン及び防火区画(面積区画、竪穴区画等)に
要求される所定の防火設備を適切に計画する。
⑷ 地上に通じる2以上の直通階段を適切に計画する。必要に応じて、
「敷地内の避難上必要な通路」を適切に計画する。
⑸ 計画に際し、「建築基準法第56条第7項(天空率)」、「建築基準法施行
令第5章の3(避難上の安全の検証)」等の規定を適用する場合には、
「答案用紙Ⅱ」の裏面にその計算過程及び結果を記入する。

要求室等(下表の室等は、全て計画する。)
| 部門 | 室 名 等 | 特 記 事 項 | 床面積 |
|---|---|---|---|
| 議会部門 | 議場 | ・3階に設け、無柱空間とする。 ・議員席12席、執行部席10席及び傍聴席 30席を設ける。 | 200以上 |
| ・その他、議長室、委員会室、議員控室、議会事務局等は、適切に 設ける。 | |||
| 執行部門 | 町長室 | 適宜 | |
| 副町長室 | 適宜 | ||
| 事務室 | ・職員80名が在席勤務する。 ・待合スペースや窓口カウンターのほ か、複数人で利用できるプライバシー に配慮した相談ブースを適宜設ける。 | 計700 以上 | |
| 書庫 | ・事務室のある全ての階に設ける。 ・集密書庫とする。 | 適宜 | |
| 大会議室 | ・移動式間仕切り等で3室以上に分割可 能とする。 ・大地震等の自然災害が発生した際は、 災害対策本部として使用する。 | 150以上 | |
| 会議室A | ・10名程度の利用を想定する。 | 適宜 | |
| 会議室B | ・10名程度の利用を想定する。 | 適宜 | |
| サーバー室 | 40以上 | ||
| ・その他、倉庫、執行部門に必要な室等は、適切に設ける。 | |||
| その他 | 休憩室 | ・職員用とする。 | 適宜 |
| 更衣室 | ・職員用とする。 | 適宜 | |
| 防災備蓄倉庫 | 50以上 | ||
| 住民交流 スペース | ・土日祝日も利用が可能な計画とする。 ・公園との関係性に配慮する。 ・住民交流のための展示スペースのほか、 交流ラウンジを設ける計画とする。 | 適宜 | |
| カフェ | ・土日祝日も利用が可能な計画とする。 ・厨房を設け、大地震等の自然災害が発 生した際は、炊き出しなどに利用でき る計画とする。 | 80以上 | |
| 守衛室 | ・夜間、土日祝日に各種書類の預かり業 務も行う。 | 適宜 | |
| ・乳幼児連れ来庁者に配慮した室等を設ける。 ・その他、総合受付、ゴミ置場等は、適切に設ける。 | |||
| 設備 | 受水槽室 | ・受水槽及び給水ポンプを設ける。 ・職員の一時滞在(72時間程度)に対応でき る量の受水槽を設けるものとし、右記 の床面積を確保する。 | 60以上 |
| 消火ポンプ室 | ・屋内消火栓用とする。 | 適宜 | |
| ・電気設備(キュービクル)、太陽光パネルのほか、災害時に使用する 発電機を屋上に設置する。 ・空調室外機、エレベーター、PS、DS、EPS等を、適切に設ける。 ・採用した設備計画に応じて、「機械室」等を適切に設ける。 | |||
| ・その他必要な室等は、適切に設ける。 ・什器等を、適宜設ける。 | |||
Ⅱ.要 求 図 書
答案用紙Ⅰ及び答案用紙Ⅱの定められた枠内(寸法線については枠外でもよい。)
に、黒鉛筆を用いて記入する。
1.要 求 図 面(答案用紙Ⅰに記入)
「Ⅰ.設計条件」の要求等を満足したことを明示したうえで、下表に示す
事項を図示又は記入して、図面を作成する。(フリーハンドでもよい。)
ほかにも計画上で工夫、配慮した事項について、図面上に什器等を記入
して表現し、簡潔な文章や矢印等により補足して明示する。
| 図 面 及 び 縮 尺 | 特 記 事 項 |
|---|---|
| ⑴ 1階平面図 ・ 配 置 図 ⑵ 2階平面図 ⑶ 3階平面図 | ① 各平面図には、次のものを図示又は記入する。 イ.主要寸法、床面積、室名等、什器等 ロ.延焼ライン(建築物の延焼のおそれのある部分の有無に かかわらず必ず記入する。)と防火設備 ハ.防火区画に用いる防火設備の位置及び種別 ニ.断面図の切断位置 ホ.事務室の室内プラン ② 1階平面図・配置図には、次のものを図示又は記 入する。 イ.駐車場(出入口を明示する。)及び植栽等 ロ.「敷地内の避難上必要な通路」の経路と幅 ハ.歩道の切り開き位置 ニ.建築物から敷地境界線までの最小後退距離 ③ 2階平面図及び3階平面図には、次のものを図示 又は記入する。 イ.居室の最も遠い位置から2の直通階段に至る歩 行経路、その一に至る歩行距離及び重複区間の 長さ ロ.直下階の屋根、庇等 |
| ⑷ 東-西断面図 | ① 切断位置は、東西方向とし、議場を含み、立体構 成が分かる断面とする。なお、水平方向及び鉛直 方向の省略は行わない。 ② 建築物の最高高さ、塔屋を除く建築物の高さ、階高、 天井高、床高及び主要な室名等を記入する。 ③ 高さ制限への適合が確認できる情報(道路・隣地斜線、 最小後退距離、計算式等)を記入する。 ④ 基礎(切断位置に現れない場合には、破線で図示する。)、 壁、梁及びスラブの断面を図示する。 ⑤ 塔屋及び屋上の設備スペースを図示する。(切断位 置に現れない場合には、破線で図示する。) |
2.面 積 表(答案用紙Ⅰに記入)
⑴ 建築面積の算定式及び合計を記入する。
⑵ 各階の床面積の算定式及び合計、床面積の合計を記入する。
この課題の床面積の算定においては、ピロティ、塔屋、バルコニー(外気に有効に
開放されているものに限る。)、屋外階段及び屋上設備スペースは、床面積に算入し
ない。ただし、ピロティ等を屋内的用途に供するもの(駐車場、設備スペース等)に
ついては、床面積に算入する。
⑶ 事務室の床面積の算定式及び合計を記入する。
3.計画の要点等(答案用紙Ⅱに記入)
要求図面では表せない建築物の計画上の要点等について、次の⑴~⑸
を具体的に記述又は図示する。(フリーハンドでもよい。)
⑴ 施設計画について、次の①~⑤の観点から配慮したこと
① 周辺環境への配慮(住民交流スペースと公園との関係性等)
② 乳幼児連れ来庁者への配慮
③ 来庁者と職員・議員等とのセキュリティを踏まえた動線計画
④ 町長室、副町長室の配置と諸室の関係性
⑤ 議会部門の配置と諸室の関係性
⑵ 省エネルギー及び二酸化炭素排出量削減に際し、採用した設備シス
テム(LED照明等、機器単体は除く。)と、採用した理由
⑶ 大地震等の自然災害が発生した際、発電機の給電対象とする設備機
器と配慮した点
⑷ 採用した構造と、採用するに当たり、大地震等の自然災害が発生し
た際に、建築物の機能を維持するために、構造計画上、考慮したこと
(【イメージ図等記入欄】に文章、図、イラスト等により示す。なお、採用した構造
に応じた装置等は答案用紙Ⅰにも記入する。)
⑸ 議場の構造計画(柱、梁、床、天井、スパン等)について考慮したこと及び
部材の断面寸法
防火設備等の凡例
柱、壁、開口部等を明確に作図し、防火設備の表示(特・防)については、必要な箇所
に全て記入すること
| 【延焼ライン(建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の位置)と防火設備】 | |
延焼ラインを破線で図示し、隣地境界線又は道路中心線から延焼ラインまでの距離を記入す
ること
また、建築物の外壁の開口部で、延焼のおそれのある部分の開口部に要求される所定の防火
設備の種別を記入すること | |
| 【防火区画に用いる防火設備の位置及び種別】 | |
| 防火区画(面積区画、竪穴区画等)に応じて、要求される所定の防火設備の位置及び種別を 記入すること | |
| 【防火設備の表示】 | |
特定防火設備 | 建築基準法第2条第九号の二ロに規定する防火設備 |
【建築物の計画に当たっての留意事項(課題公表(7/25)の再掲)】
○敷地の周辺環境に配慮して計画する。
○バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して
計画する。
○各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
○大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。
○建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
○構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面
寸法の部材を計画する。
○空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
[注意事項]
「試験問題」を十分に理解したうえで、解答してください。
なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対し
て解答内容が不適合又は不十分な場合には、「設計条件・要求図書等に対する重大な不適
合」等と判断されます。また、適用すべき法令については、令和7年1月1日現在におい
て施行されているものとします。ただし、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエ
ネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)、
同法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(令和6年政令第172号)及び同法の施行
に伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(令和6年国土交通省令第68号)」に基づ
く法令の規定については、令和7年4月1日現在において施行されているものを適用す
べき法令とします。
延焼ラインを破線で図示し、隣地境界線又は道路中心線から延焼ラインまでの距離を記入す
ること
また、建築物の外壁の開口部で、延焼のおそれのある部分の開口部に要求される所定の防火
設備の種別を記入すること
特定防火設備
建築基準法第2条第九号の二ロに規定する防火設備