学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅳ(構造) 問20
問題・正答・学習用解説
問題
基礎の設計のための地盤調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
選択肢1は、一軸圧縮試験を三軸圧縮試験の説明と取り違えています。一軸圧縮試験では、円柱状に整えた土の試料の側面へ拘束圧を加えず、上下から圧縮して一軸圧縮強さを求めます。拘束圧は、周囲から試料を押さえ、横へ広がるのを抑える圧力のことです。
粘土など、自立して形を保てる試料を押し、最大の圧縮応力度を調べます。たとえば最大荷重が、その時の断面積がなら、圧縮応力度は です。実際には圧縮で断面が変わることも補正します。飽和した粘性土の非排水状態などの前提では、非排水せん断強さをとして推定できます。
一方、土のせん断強さが、周囲から押す圧力によってどれだけ増えるかまで調べるには、拘束圧を変えた三軸圧縮試験などを使います。複数の拘束条件での破壊時の応力から、粘着力と内部摩擦角を評価します。一軸圧縮試験の結果一つから、この二つを一般的に独立して求められるわけではありません。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)側面に拘束圧を加えないのが一軸圧縮試験です。側面へ圧力をかけ、上下方向の力を増やして破壊させるのは三軸圧縮試験の説明に当たります。また、粘着力と内部摩擦角の両方を求めるには、拘束圧を変えた複数の結果などが必要です。砂のように側方の支えがないと形を保ちにくい土には、そのままの一軸圧縮試験を適用しにくい点も、両試験を区別する手掛かりになります。
選択肢2
(2)適切です。スクリューウエイト貫入試験は、ねじ状の先端を持つ棒を、荷重と回転によって地盤へ貫入させ、抵抗を調べる方法です。所定の荷重で自沈するか、一定の深さまで進めるのに何回転必要かなどから、地盤の硬軟や締まり具合を評価します。ハンマーで打撃する標準貫入試験と異なり、静的な貫入抵抗を用います。測定値を利用する際は、土質の推定や適用範囲も合わせて確認します。
選択肢3
(3)適切です。平板載荷試験は、地盤表面や掘削面に鋼製の板を置き、荷重を増やして沈下との関係を測る現場試験です。調べられる支持力特性の深さは、主に載荷板幅の1.5〜2.0倍程度です。幅の板なら、およそ0.45〜程度の深さが目安になります。試験結果が良好でも、その下の深い軟弱層まで確認できたわけではありません。実際の基礎幅との違いと、深部の地層を別途考慮します。
選択肢4
(4)適切です。PS検層は、振動を起こして地中を伝わる波を受信し、P波とS波の速度を深さごとに調べます。P波は進む方向へ伸び縮みする波、S波は進む方向と直角に揺れる波です。波が届く時間と伝わる距離から速度を求め、地層の動的な硬さや地震時の応答の評価に使います。土を押しつぶして強度を直接求める試験ではなく、弾性波の伝わり方から性質を調べる点が異なります。
周辺知識
地盤調査には、現場で棒や板を使って調べる方法、土を採取して室内で調べる方法、波を伝えて調べる方法があります。一つの試験が「地盤の安全性」を丸ごと測るわけではありません。貫入抵抗、圧縮強さ、荷重と沈下の関係、波の速度など、直接得られる量がそれぞれ異なります。
土のせん断強さは、概念的にはで表せます。は粘着力に対応する成分、は内部摩擦角、は土粒の骨組にかかる有効な押付け圧力です。押し付けるほど滑りにくくなる摩擦の効果を、圧力に応じた傾きとして表しています。一つの圧力条件だけでは、切片と傾きを両方決められないことが、一軸圧縮だけでは一般的に両者を求められない理由です。
また、採取時に土の構造が乱れれば、室内の強さが現場の強さとずれることがあります。現場試験でも調べる深さや大きさに限界があります。設計する基礎の大きさ、支持層の深さ、地盤の種類、地震時に必要な情報に応じて試験を組み合わせ、各試験が示す範囲を明確にすることが大切です。