学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問16
問題・正答・学習用解説
問題
JISにおける構内電気設備の名称とその配線用図記号との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)です。示された、上部に平行線があり下側が半円状の図記号は、熱感知器に対応します。名称が「煙感知器」となっているため、記号と名称の組合せが不適当です。火災を検知するという目的は共通ですが、熱を捉える機器と煙を捉える機器は、動作する条件も用途も異なります。
熱感知器は、一定の温度に達したことや、温度が急に上がったことなどを検出します。煙感知器は、煙の粒子による光の散乱や減光などを利用して検出します。煙が先に発生する火災では、熱が十分上がる前に煙感知器が反応する場合があります。一方、蒸気やほこりなどがある場所では、煙感知器の配置や種類に配慮が必要です。
電気設備図の記号は、機器の実物の外形をそのまま描くものではなく、限られた図面上で種類を伝える共通の約束です。丸い形だからどちらの感知器でもよいとは考えず、輪郭、内部の線、塗りつぶし、付記文字を組にして読みます。本問では残るコンセント、分電盤、配電盤の記号は名称と一致します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。図は壁付コンセントの記号にETが付いています。ETは接地端子付きであることを示す付記で、機器の接地線を接続する端子を備える意味です。接地は、絶縁不良などで機器の金属部分へ電気が漏れた際の保護に関わります。接地端子があることと、プラグの接地極を差し込む接地極付きの構造は同じ表現ではないので、付記文字が示す具体的な仕様まで読むことが重要です。
選択肢2
(2)不適当です。図の上部の平行線と半円状の輪郭を持つ記号は熱感知器に対応し、煙感知器の名称との組合せが誤りです。熱感知器は温度やその上昇を、煙感知器は煙を捉えます。どちらも自動火災報知設備の感知器ですが、入れ替えてよい機器ではありません。図記号の違いは単なる描き方の好みではなく、設置する機器の種類を変える情報であることを意識します。
選択肢3
(3)適当です。長方形を対角線で分け、一部を塗りつぶした記号は分電盤に対応します。分電盤は、受けた電力を照明やコンセントなどの複数の回路へ分け、各回路を遮断器などで保護する設備です。住宅のブレーカーが並ぶ盤を思い浮かべると役割が分かります。図面では実際の内部配置をこの記号だけで示すのではなく、盤の種類と位置を表し、詳細な回路は別の図や表で確認します。
選択肢4
(4)適当です。長方形の内部に二本の対角線を描いた記号は配電盤に対応します。配電盤は電力の受け渡しや制御、保護などを行う盤で、下流側へ電力を送る設備です。分電盤の記号と同じ長方形でも、内部の線と塗りつぶしが違います。外側の形だけで名称を選ばず、内部の表現まで確認しましょう。盤の実物の大きさを比較しているのではなく、設備図の共通記号の対応を問う問題です。
周辺知識
設備図は、平面上の位置と機器の仕様を少ない線で伝えるため、共通の図記号と付記を用います。読むときは、基本形が何の機器か、内部の線や塗りが何を区別するか、文字がどの仕様を追加するかの順に確認すると整理できます。似た記号を見比べて、違いのある部分だけを言葉で説明する練習も有効です。
ただし、形を覚えるだけでなく機器の役割も結び付けましょう。コンセントは使用場所へ電力を取り出す口、分電盤は複数の回路へ分ける設備、感知器は火災の兆候を捉える設備です。どの系統につながるものかが分かれば、図面上の配線の流れも読みやすくなります。
熱と煙の感知器は、火災のどの兆候を検知するかが異なります。設置する部屋の用途や天井高さ、蒸気やほこり、空調気流などによって適する種類や位置が変わります。原本の図記号を名称と正しく結び付けることは、単なる暗記ではなく、その場所で期待する安全機能を正確に伝えるための基礎になります。



