学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問17
問題・正答・学習用解説
問題
左官工事、タイル工事及び石工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢1です。ビニル床シートの下地となる床コンクリート直均し仕上げは、本問の平坦さの標準値として3mにつき7mm以下とします。1mにつき10mm以下では、薄いシート仕上げの下地として凹凸を許しすぎています。測定する長さと許される隙間を一組で確認します。
ビニル床シートは薄く、下地の形に沿って張られるため、下地に波や段差があれば仕上げ面にも現れやすくなります。シートを張る工程で接着剤を厚くして全ての凹凸を埋めればよいというものではありません。コンクリートを均す段階で必要な精度を確保し、張付け前に下地の状態を確認します。
平坦さは、一定の長さの直線からどれだけ凹凸があるかを示すもので、床全体の水平や所定の勾配とは別です。斜めでも平らな面はあり、水平の高さが合っていても細かな波がある面はあります。他の肢は、タイルの伸縮目地、接着試験の数量、石張り幅木の裏込めを述べています。仕上げ材が必要な支持と接着を得られ、下地の動きに対応できるかを確認する問題です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:ビニル床シート下地の平坦さは、本問では3mにつき7mm以下とするため、1mにつき10mm以下は不適当です。長い定規などを面に当て、その間の隙間を調べるイメージで考えます。薄いシートでは下地の凹凸が仕上がりに現れ、歩行感や見た目、接着状態へ影響します。3mで7mmを単純に割って、1mの別の許容値へ置き換えるわけではありません。指定された測定長さと凹凸量を守り、局部的な段差なども張付け前に処理します。
選択肢2
選択肢2:床タイルの伸縮調整目地を、縦・横とも4m以内ごとに設ける本肢は適当です。タイル、張付けモルタル、下地は、温度や乾燥によって同じ量だけ伸縮するとは限りません。広い面を硬い目地で一続きにすると、動きが逃げにくく、浮きやひび割れにつながることがあります。所定の区画ごとに伸縮を吸収する目地を設けます。一般のタイル間の細い目地を、そのまま伸縮調整目地と考えず、動きを受け持つ位置と材料を計画します。
選択肢3
選択肢3:外壁タイルの引張接着試験体を、100m²ごとと端数につき1個以上、かつ全体で3個以上とする本肢は適当です。例えば250m²なら端数50m²も一区分として3個以上、80m²でも全体の最低数により3個以上です。面積による条件だけで一個に減らしません。試験はタイルを下地から引き離す方向へ力を加え、付着の状態を確かめます。引張強度の値に加え、どの層で破壊したかも接着状態を評価するための情報になります。
選択肢4
選択肢4:内壁空積工法でも、幅木の裏には全面に裏込めモルタルを充填する本肢は適当です。幅木は床に接する壁の下端部分で、人や清掃器具などが当たりやすい位置です。裏側を充填して支持し、石に無理な局部的な力がかからないようにします。空積という名称は、全ての場所で裏側を必ず空洞にするという意味ではありません。一般部の構成と、幅木など特定の部分の納まりを区別します。所定の金物による保持と裏込めの範囲を確認して施工します。
周辺知識
仕上げの精度は、その直前の材料だけでなく下地に左右されます。薄い床シートは下地の凹凸を拾いやすく、タイルや石は下地との付着や支持が不足すると浮きや割れを起こします。完成した表面だけを見るのではなく、その下に何があり、どの状態で施工されたかを考えます。
平坦さと水平は別の指標です。平坦さは面の凹凸、水平は重力に対する傾きに関係します。排水勾配のある床も、その勾配に沿って平坦に仕上げることが必要です。基準の測定長さを変えると評価する凹凸の範囲も変わるため、数値を単純な比例で置き換えないようにします。
タイルでは、付着を強くする一方で、所定の目地で伸縮を逃がします。接着試験は施工面積に応じて試験体を設けますが、最低個数という別条件もあります。支持、接着、変形への対応、検査数量をそれぞれ確保することで、広い面が安定した仕上げになります。複数の条件は、一つを満たせば他を省ける関係ではありません。