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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅳ(構造) 問20

問題・正答・学習用解説

問題

基礎の設計のための地盤調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    基礎を支持する砂礫層直下の粘性土層の圧密沈下の特性を把握するために、粘性土の乱さない試料をサンプリングして、一軸圧縮試験を実施した。
  2. (2)
    事前調査の結果、地層の構成が推定できなかったので、予備調査を実施した後に、本調査のボーリングの位置及び数量を決定した。
  3. (3)
    液状化のおそれがある埋立て土層があったので、地下水位調査と粒度試験を実施した。
  4. (4)
    高層建築物の耐震設計上必要となる地盤特性を調査するために、PS検層を実施した。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

圧密沈下は、荷重を受けた粘土の中の水が時間をかけて抜け、粒の間隔が詰まって地層の厚さが減る現象です。建物直下に硬い砂礫層があっても、その下の粘土へ荷重が伝われば沈下が生じます。基礎が直接触れる層だけを調べればよいわけではありません。
(1)は試験名が誤りです。圧密沈下の大きさや進む速さを調べるには、粘性土の乱さない試料を採り、圧密試験を行います。試料の横方向の変形を拘束し、上下から荷重を加えて排水させ、時間と沈み方を測ります。これにより、荷重が増えたときにどの程度体積が減るか、どの程度の時間で進むかを評価できます。
一軸圧縮試験は、円柱状の試料を横から押さえずに軸方向へ圧縮し、主に圧縮強さや破壊までの変形を調べるものです。「圧縮」という言葉が同じでも、長時間の排水と沈下を調べる試験とは目的が違います。乱さない試料を使う判断は適切ですが、それだけで試験目的が合うわけではありません。調べたい現象から試験を選びます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)圧密沈下の特性に対応するのは圧密試験です。乱さない試料を採るのは、地中の粒の組み立てや水分状態をできるだけ保つためで、この部分は適切です。一軸圧縮試験へ変更すると、主に粘土が押されて壊れる強さを調べることになり、水が抜けながら長期間縮む性質を目的どおり評価できません。砂礫層が上にあっても下の粘土が圧密する可能性がある、という着目も正しいものです。

選択肢2

(2)地層は敷地内で同じ深さに水平に続くとは限りません。事前資料だけで構成が分からなければ、予備調査で大まかな分布をつかみ、その結果から本調査のボーリング位置と数量を決めるのは合理的です。軟弱層の厚さや支持層の傾きが変わる場所を見落とさないためです。初めから一か所の結果を敷地全体の代表と決めつけるより、必要な情報に応じて調査計画を具体化できます。

選択肢3

(3)液状化は、地下水で飽和した砂質の地盤などで問題になります。地下水位を調べれば水で満たされる範囲を把握でき、粒度試験では砂や細かい粒がどの程度含まれるかが分かります。したがって、液状化が心配される埋立て層でこれらを実施する判断は適切です。ただし、この二つだけで最終判定が完了するとは限りません。N\displaystyle \mathrm{N}値などによる締まり具合や想定地震動も併せて評価します。

選択肢4

(4)PS検層は、ボーリング孔などを利用して地盤中を伝わるP波とS波の速さを調べます。P波は押し縮める波、S波は横ずれを伝える波で、特にS波速度は地盤のせん断剛性や地震時の揺れ方の評価に役立ちます。高層建築物の耐震設計に必要な地盤特性を調べる方法として適切です。地層ごとの速度の違いを知ることで、表層地盤による揺れの増幅などを考える資料になります。

周辺知識

地盤調査は「何を知りたいか」と「何を測るか」を対応させます。地層の種類と深さならボーリング、砂の締まりなどなら標準貫入試験、粘土の圧縮強さなら一軸圧縮試験、排水に伴う沈下なら圧密試験というように役割が異なります。一つの試験が地盤の全ての性質を直接測るわけではありません。
圧密では、沈下量と時間も分けて考えます。最終的に同じ量だけ縮む地層でも、水が逃げる距離が長いほど沈下に時間がかかる場合があります。薄い粘土層の上下が水を通す砂なら排水しやすく、厚い粘土層の片側だけから排水するなら長くかかりやすくなります。
PS検層のS波速度Vs\displaystyle V_sと微小変形時のせん断剛性G\displaystyle GにはG=ρVs2\displaystyle G=\rho V_s^2という関係があり、ρ\displaystyle \rhoは地盤の密度です。速く横ずれが伝わる地盤ほど、微小なせん断変形に対して硬いという意味です。ただし大きく揺れると剛性が低下するため、微小変形の値を地震中も一定とするとは限りません。調査値を設計へ使う際の前提も確認します。