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機械

電験三種 令和7年度下期 機械 問2

問題・正答・学習用解説

問題

界磁に永久磁石を用いた小形直流電動機がある。この電動機の電機子に 12 V の電圧を加えたところ,無負荷の状態で 3000 min⁻¹ で回転した。この電圧を維持したまま負荷を与えて,2 A の電機子電流を流したところ,損失が 3 W 発生した。このときの回転数[min⁻¹]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,ブラシによる電圧降下及び電機子反作用は無視できるものとし,損失は電機子巻線の銅損しか存在しないものとする。

選択肢

  1. (1)
    3429
  2. (2)
    3000
  3. (3)
    2813
  4. (4)
    2625
  5. (5)
    2250

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は(4)です。損失は電機子巻線の銅損だけなので,負荷時の銅損Pc=Ia2Ra\displaystyle \text{銅損} P_{c}=I_{a}^{2} R_{a} =3W\displaystyle =3 W,電機子電流Ia=2A\displaystyle \text{電流} I_{a}=2 A から電機子抵抗は Ra=PcIa2\displaystyle R_{a}=\frac{P_{c}}{I_{a}^{2}} =322\displaystyle =\frac{3}{2^{2}} =0.75Ω\displaystyle =0.75 \Omega,電機子抵抗による電圧降下は IaRa=2×0.75\displaystyle I_{a} R_{a}=2\times 0.75 =1.5V\displaystyle =1.5 V です(PcIa=32\displaystyle \frac{P_{c}}{I_{a}}=\frac{3}{2} =1.5V\displaystyle =1.5 V と直接求めても同じ)。負荷時の逆起電力(誘導起電力)は電圧方程式 V=E+IaRa\displaystyle V=E+I_{a} R_{a} より E=V−IaRa\displaystyle E=V-I_{a} R_{a} =12−1.5\displaystyle =12-1.5 =10.5V\displaystyle =10.5 V となります。界磁は永久磁石で磁束 φ が一定なので逆起電力 E=keφn\displaystyle E=k_{e} \varphi n は回転速度 n に正比例します。無負荷時はブラシ電圧降下も電機子反作用も無視でき,電機子電流がほぼ零で電圧降下もないため E0≃V\displaystyle E_{0}\simeq V =12V\displaystyle =12 V,このとき n0=3000\displaystyle n_{0}=3000 min⁻¹ です。したがって n=n0×(EE0)\displaystyle n=n_{0}\times (\frac{E}{E_{0}}) =3000×(10.512)\displaystyle =3000\times (\frac{10.5}{12}) =3000×0.875\displaystyle =3000\times 0.875 =2625\displaystyle =2625 min⁻¹ となり,(4)が最も近い値です。

各選択肢の解説

選択肢1

3429 min⁻¹ は逆起電力の比を逆数にとり n=3000×(1210.5)\displaystyle n=3000\times (\frac{12}{10.5}) としてしまった値です。負荷をかけると逆起電力(速度)は上がらず下がるので,比は 10.512\displaystyle \frac{10.5}{12}(1未満)でなければならず,1を超える換算は向きが逆で誤りです。

選択肢2

3000 min⁻¹ は無負荷時とまったく同じ回転数です。2 A の電機子電流が流れて IaRa=1.5V\displaystyle I_{a} R_{a}=1.5 V の電圧降下が生じ逆起電力が 12 V から 10.5 V へ下がっている以上,速度は必ず低下するため,無負荷値のままというのは誤りです。

選択肢3

2813 min⁻¹ は電圧降下を 0.75 V とする(Ra\displaystyle R_{a} と IaRa\displaystyle I_{a} R_{a} を取り違える,あるいは降下を半分にする)などした場合に近い中間値で,正しい逆起電力比 10.512\displaystyle \frac{10.5}{12} から得られる 2625 min⁻¹ にはなりません。

選択肢5

2250 min⁻¹ は電圧降下を 3 V(Ra\displaystyle R_{a} を 1.5 Ω と誤る,または銅損 3 W をそのまま電圧降下とみなす)と過大に見積もった値です。銅損 3 W・電流 2 A から正しく求まる降下は IaRa=1.5V\displaystyle I_{a} R_{a}=1.5 V で,E=10.5V\displaystyle E=10.5 V,n=2625min−1\displaystyle n=2625 min^{-1} が正解です。

周辺知識

永久磁石界磁(PMDCモータ)は界磁巻線が不要で磁束が常に一定なので,逆起電力定数 ke\displaystyle k_{e} と トルク定数 kt\displaystyle k_{t} が一定値となり,E=keω\displaystyle E=k_{e} \omega,T=ktIa\displaystyle T=k_{t} I_{a} というシンプルな比例関係が成り立ちます(SI単位では数値的に ke=kt\displaystyle k_{e}=k_{t})。電圧方程式 V=E+IaRa\displaystyle V=E+I_{a} R_{a} を使うと,端子電圧一定のまま負荷を増やすと Ia\displaystyle I_{a} が増え IaRa\displaystyle I_{a} R_{a} が増えるので E すなわち回転速度が下がる,という分巻に似た垂下特性になります。この問題のように『無負荷回転数と無負荷の逆起電力(≒端子電圧)』を基準点にして比例計算するのが定石で,nE\displaystyle \frac{n}{E} が一定という関係を使うと暗算に近い形で解けます。注意点として,問題文がブラシ電圧降下や電機子反作用を無視と断っているのは,それらがあると E と V の関係に余分な項が入り比例関係が崩れるためです。銅損Pc=Ia2Ra\displaystyle \text{銅損} P_{c}=I_{a}^{2} R_{a} の式から Ra\displaystyle R_{a} を逆算できる点もよく問われ,IaRa=PcIa\displaystyle I_{a} R_{a}=\frac{P_{c}}{I_{a}} と一段で出すと速いです。実機では模型・玩具・小型ファン・自動車補機などにPMDCが多用され,速度制御は端子電圧(PWM)で行うのが一般的です。